ジーザス、エブリワン!クリスチャンブロガーのキートンです。

内容についてざっくりと知りたいなあ。。
こういった疑問にお答えします。
人類史上最も読まれている書物である“聖書”。
聖書にはアダムとイブやノアの方舟、最後の晩餐など誰もが聞いたことあるような有名なエピソードがたくさん書かれています。
そこには映画を超えるような壮大なストーリーがあり、様々なドラマがあるのです。
また、聖書を読めば、聖書がモチーフになっている芸術作品や世界のニュースの理解も深まるでしょう。
さらに、聖書には私たちの心に響くような名言や格言もたくさん書かれています。
そう、聖書は面白いのです。
とは言え、聖書は分厚いし、難しそうだし、わざわざ読むのも面倒くさい。。
そんな方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、クリスチャンの僕が、旧約聖書と新約聖書の内容をそれぞれわかりやすくざっくりとまとめてみました。
とにかく「聖書が面白い!」と思ってもらえるようにまとめたので、ぜひ最後までお読みください!

聖書とは?

そもそも聖書とはどのような本なのでしょうか?
内容に入る前に、その概要をざっくりとまとめておきましょう。
- 永遠のベストセラー
- 旧約聖書と新約聖書の違い
永遠のベストセラー
聖書はユダヤ教やキリスト教の聖典であり、世界で一番読まれている本です。
累計発行部数は数十億冊以上だと言われており、”永遠のベストセラー”とも呼ばれます。
そのため、聖書の影響力は凄まじく、文学や音楽、絵画、映画など様々なものに影響を与えてきました。
特に西洋美術は、聖書がモチーフになっているものが多いですよね。
また、聖書は約1600年をかけて約40人の書き手によって書かれたとされていますが、全体には驚くべき統一性があります。
聖書は全66巻の書物で構成されていて、39巻から成る旧約聖書と27巻から成る新約聖書に分けられます。
そのジャンルは多岐にわたり、それぞれの構成は以下の通りです。
◎旧約聖書
- 律法書(モーセ五書):ユダヤ教では最も基本的な聖典。天地創造、アダムとイブ、ノアの方舟など有名なお話が多い。
- 歴史書:約束の地カナンに入った後のイスラエルの民の歴史が書かれている。サムソン、ダビデ、ソロモンなど有名な人物が多く登場。
- 詩書(知恵文学):神への讃歌や人生のアドバイスなどが書かれている。
- 預言書:預言者を通して語られた神の言葉などが書かれている。
◎新約聖書
- 福音書:福音とは”よき知らせ”という意味。誕生から復活までを含めたイエスの生涯や教えがまとめられている、新約聖書でも特に重要な書物。
- 歴史書:イエス昇天後の弟子たちの活動や初期の教会などについて書かれている。
- パウロの書簡:パウロによって書かれたとされる手紙集。信徒への励ましやキリストについてなどが書かれている。
- 公同書簡:パウロ以外によって書かれたとされる手紙集。
- 預言書:新約聖書の最後にある”ヨハネの黙示録”のこと。最後の審判やキリストの再臨など、この世の終わりについて書かれている。

✅️聖書の詳細は、聖書とはどのような書物か?4つの特徴まとめ【永遠のベストセラー】をどうぞ
旧約聖書と新約聖書の違い
続いて、旧約聖書と新約聖書の違いについても見てみましょう。
すごくざっくりと言うと、旧約聖書はイエスが生まれる前のお話です。
世界の始まりや神とイスラエル民族の交流などについて書かれています。
一方で、新約聖書はイエスが誕生してからのお話です。
イエスの生涯や教え、弟子たちの活動などについて書かれています。
旧約聖書には”救い主が来る”という約束が何度も書かれていますが、新約聖書においてそれが実現したという感じですね。
ちなみに、旧約や新約の約というのは、神と人との契約のことを指しています。
旧約は、神とイスラエル人の間で結ばれた旧い契約のことを意味しており、
イスラエル人が律法を守り忠実に神に仕えるなら、救いと繁栄が約束されました。
しかし、この時点で救いの道は、イスラエル人にしか開かれていませんでした。
一方、新約は神とイエスを信じる人々との間で結ばれた新しい契約のことを指しており、イエスキリストを信じるだけで救いが約束されました。
つまり、イエスキリストの死と復活によって、イスラエル人だけでなく、キリストを信じる者すべてに救いの道が開かれたのです。

✅️旧約聖書と新約聖書の違いについては、旧約聖書と新約聖書の4つの違いを簡単に解説【比較表あり】をどうぞ
旧約聖書の内容をわかりやすく解説

では、まず旧約聖書の内容から解説していきます。
- 天地創造
- アダムとイブ
- カインとアベル
- ノアの方舟
- バベルの塔
- アブラハムの旅
- ソドムとゴモラ
- アブラハムの試練
- エサウとヤコブ
- ヨセフの物語
- 出エジプト
- モーセの十戒
- カナンの征服
- 怪力サムソン
- 最初の王サウル
- 英雄ダビデ王
- 賢者ソロモン王
- バビロン捕囚
- エルサレム帰還

天地創造
聖書の最初に出てくるのは、神が6日間をかけて天地のあらゆるものを造っていく”天地創造”の物語です。
この世界がどのようにできたかについては、色んな考え方がありますが、聖書は“神がこの世界を造られた”とはっきり語っています。
天地創造の主な流れは、以下の通りです。
- 1日目 光を造った。昼と夜を分けた。
- 2日目 大空(天)と水を造った。
- 3日目 陸地と海を造った。地上に植物を生やした。
- 4日目 太陽と月と星を造った。
- 5日目 魚や鳥を造った。
- 6日目 地上の生物(獣や人など)を造った。
- 7日目 自分の仕事に満足して、休んだ。
最初、世界は混沌と暗闇に包まれていました。
そこで、神がまず第1日目に造られたのは、光でした。
神が「光あれ」と言うと光が生まれ、光を昼、闇を夜と区別されました。
2日目に神は大空と水を造り、大空を天と呼ばれました。
3日目に神は陸地と海を造り、地には植物を芽生えさせました。
4日目に神は太陽・月・星を造り、太陽に昼、月に夜を治めさせました。
5日目に神は、魚や鳥を造られました。
6日目に神は、地の獣や家畜、土を這うものなど様々な生き物を造られました。
また、最後に”神のかたち”に似せて人間が造られ、神は人間に「地を治め、他の生き物を管理する」という使命を与えられました。
神がご覧になると、ご自分が造られたものはすべて素晴らしいものでした。
こうして天地の万物を造られた神は、7日目で休まれました。
そして、この第七の日を祝福し、聖なるものとされました。

また、ユダヤ教やキリスト教には、働かずに神を礼拝する安息日という日があるんですが、
これもこの天地創造のお話が元になっています。
この天地創造のお話から分かることは、
この世界は偶然にできたのではなく、全知全能なる神によって愛と目的を持って造られたということです。
特に私たち人間は特別に神から愛され、”神のかたち”に似せた最高傑作として造られました。
実際に、この世界や生き物たちをじっくり見てみてください。
偶然できたにしては、あまりにも美しく精巧だと思いませんか?
この世のすべてのものは神に造られた被造物であり、神の存在を証明しているんですね。
✅️天地創造の詳細は、【聖書】天地創造とは?わかりやすくクリスチャンが内容を解説をどうぞ
アダムとイブ
天地創造の6日目に人間が造られましたが、その最初の人間があの有名なアダムとイブです。
アダムとイブという名前を聞いたことがある方は、多いのではないでしょうか?
神は土のちりからアダムを形作り、その鼻に命の息を吹き込まれました。
こうしてアダムは生きる者となりました。
続いて神はエデンの園という美しい場所を造ってアダムをそこに置き、耕させました。
エデンの園には様々な木が生えていて、食べ物に困ることはありません。
また、神は人がひとりでいるのは良くないと思い、アダムのあばら骨から女を造られました。
これがイブです。
二人は夫婦となり、神の前で互いに助け合う存在とされました。
さて、アダムとイブはエデンの園で自由に暮らしていましたが、一つだけ神に禁じられていたことがありました。
それは、園の中央にある『善悪の知識の木』の実だけは食べてはいけないというものです。
その実を食べると必ず死ぬというのです。
ところが、園にはヘビと呼ばれるずる賢い存在がいて、イブに近づきました。
ヘビは、

むしろ神のように善悪がわかるようになるのさ。
とイブを誘惑します。
ヘビの誘惑に負けたイブは禁断の実を取って食べ、アダムにも渡したので、彼も食べてしまいました。
するとどうでしょう。
二人の目が開け、自分たちが裸であることに気づきました。
そして恥ずかしくなり、イチジクの葉で腰を覆ったのです。
これが人類初めての罪(原罪)だとされています。
聖書が語る罪とは犯罪のことではなく、神に背くことですね。
ちなみに、アダムとイブが食べた木の実はりんごとして描かれることが多いですが、
聖書にはりんごだとは書かれておらず、何の木の実かは不明です。
神に問い詰められたアダムは、

とイブに罪をなすりつけ、
イブはイブで

と蛇のせいにしました。
その結果、神は人間に次のような裁きを下しました。
- 男は労働の苦しみを味わう
- 女は子を生む苦しみを味わう
- すべての人間はいずれ必ず死ぬ
こうして、人間に罪や死が入り込んでしまったのです。
神に背いたアダムとイブは、エデンの園から追い出されてしまいました。
✅️アダムとイブの詳細は、アダムとイブ(エバ)のあらすじを簡単に解説【人間の始まり】をどうぞ
カインとアベル
エデンの園を追放されたアダムとイブですが、彼らにはカインとアベルという2人の男の子が生まれました。
兄のカインは農夫となって作物を育て、弟のアベルは羊飼いとなって羊を飼いました。
あるとき、カインとアベルがそれぞれ神にささげ物をし、カインは自分の畑の作物を、
アベルは肥えた羊の初子(最初に生まれた子羊)をささげます。
しかし、神はアベルのささげ物には目を留めましたが、なぜかカインのささげ物には目を留められませんでした。
さて、このことに怒りを燃やしたカインは、アベルへの嫉妬から恐ろしい行為に出てしまいます。
なんと野にアベルを誘い出し、彼を殺してしまったのです。
これが人類最初の殺人事件です。
神はカインに

と尋ねます。
カインはしらばっくれて知らないフリをしますが、神はすべてをご存知でした。
アベルを殺したカインに対して、神は罰を下しました。
それは、カインが土を耕しても収穫を得ることはできず、地上をさまよう放浪者となるというものです。
しかし、同時に神は誰もカインを殺さないように印を与え、彼を守りました。
こうして、カインは神の前を去り、エデンの東のノドという地に行くことになります。

✅️カインとアベルの詳細は、【聖書】カインとアベルを超わかりやすく解説!あらすじや解釈は?をどうぞ
ノアの方舟
アダムとイブの子孫は増えていきましたが、やがて人間の悪が地上に満ちあふれるようになりました。
神はこのことを深く悲しまれ、人間も動物も地上のすべてのものを滅ぼそうと決意されます。
しかし、堕落した人間たちの中でノアだけは、神に従う正しい人だったので、ノアの家族だけは救われることとなりました。
神がノアを助ける方法は、巨大な方舟に乗せるという方法でした。
これがかの有名なノアの方舟ですね。
ノアは神に命じられるままに方舟を作り、ノアの家族と動物たちが方舟に入れられました。
やがて大雨が降ってきて大洪水が始まり、方舟に乗っていない地上のすべての生き物は滅びました。
150日が過ぎたとき、ようやく雨は止み、方舟はアララト山の上に停まりました。
そこでノアはまずカラスを放ち、その後ハトを放ちますが、鳥たちは止まるところが見つからずに戻ってきてしまいます。
しかし、1週間後に再びハトを飛ばすと、ハトがオリーブの葉をくわえて戻ってきました。
さらに1週間後に放ったハトはもう戻って来ず、ノアは完全に大洪水が終わったことを知ったのです。

方舟から降りたノアは、祭壇を築いてささげ物をし、神に感謝をささげます。
すると神は二度と洪水で地を滅ぼさないと約束し、そのしるしとして虹を空にかけました。
ちなみに、聖人君子のように見えるノアですが、実はこの後恥ずかしい失敗をしています。
大洪水の後に農夫となったノアは、ぶどう畑を作り始めました。
しかし、あるときノアはぶどう酒を飲んで酔っ払い、裸で寝てしまったのです。
しかも、その姿を息子たちに見られてしまいました。
こういう人間の失敗や罪も赤裸々に描いているのが、聖書の面白いところですね。
✅️ノアの方舟の詳細は、ノアの方舟(箱舟)のあらすじとは?簡単にご紹介【聖書物語】をどうぞ
バベルの塔
さて、時が経ち、ノアの子孫が地上に広がり始めました。
そして、東のほうから移動してきた人々は、シンアルという地に住み着きました。
そこで彼らはこう言い始めます。

こうしてシンアルの人々は、当時の最先端の建築材料を使って塔の建設を始めました。
つまり、彼らは自分たちの力で大きな名声を得ようとし、神を必要としない社会を築こうとしたのです。
しかし、その様子を見た神は言われました。

彼らの言葉を混乱させ、お互いの言葉が通じないようにしてしまおう。
それまで人間は一つの言語を話していましたが、神は人々の言葉をバラバラにしてしまったのです。
言葉が通じなくなった人々は、塔を建てることができなくなり、各地に散っていきました。
傲慢さのシンボルとも言えるバベルの塔の建設が、神の怒りを買ったのです。
今現在なぜ人々が様々な言語を話すようになったのか、その由来が分かるお話ですね。
✅️バベルの塔の詳細は、【聖書】バベルの塔のあらすじとは?簡単にわかりやすくご紹介をどうぞ
アブラハムの旅
バベルの塔で人類がバラバラになったあと、神は全人類を再び祝福する新しい方法を取られました。
それが一人の人物を選ぶことです。
その人物が”信仰の父”とも呼ばれるアブラハムです。
アブラハムは、後にイスラエル人(ユダヤ人)やアラブ人の始祖となる人物で、
キリスト教徒だけでなく、ユダヤ教徒やイスラム教徒からも尊敬されています。
神はアブラハムに

と語られ、アブラハムはカナンという地(現在のパレスチナ地方)に向かいました。
神はアブラハムに、このような約束を与えられます。
- あなたを大いなる国民とし、祝福する
- あなたの子孫にカナンの地を与える
- あなたの子孫は星の数ほど増える
- あなたの子孫を通して世界のすべての民族が祝福される
つまり、神はアブラハムを通して全世界を祝福する計画を始められたのです。
その最大の祝福が、後にアブラハムの家系からお生まれになるイエスキリストですね。
アブラハムはこの約束を信じました。
✅️アブラハムの詳細は、【聖書】アブラハムとはどんな人で何をした?その生涯を簡単に解説をどうぞ
ソドムとゴモラ
アブラハムには甥のロトという人物がおり、彼はソドムという町に住んでいました。
ところが、この町は隣の町ゴモラと同じく、人々の罪や悪で満ちていました。
そこで神はアブラハムに、ソドムとゴモラの町を滅ぼすことを告げます。
すると、アブラハムは、甥のロトのためにも必死に神に願いました。

神は言われました。

その後もアブラハムは交渉を続け、10人でも正しい人がいればソドムとゴモラを滅ぼさないと神に約束してもらうことができました。
しかし、結果的に正しい人が10人もいなかったため、ソドムとゴモラは滅ぼされてしまうことになります。
神は二人の天使をソドムに送り、ロトは彼らを家に迎え入れました。
すると、町の男たちはロトの家を取り囲み、彼らに乱暴しようとしました。
ソドムの堕落ぶりがよく分かりますよね。
天使たちはロトに言いました。

ロトはためらいましたが、天使に急かされ、妻と二人の娘と共に町を出ました。
すると神は硫黄と火を天から降らせ、ソドムとゴモラを焼き尽くします。
結果的にロトと二人の娘は助かりましたが、ロトの妻は途中で神の命令を破って町を振り返ってしまったため、塩の柱になってしまいました。
今やソドムとゴモラが邪悪や堕落の代名詞として使われるのは、こういったエピソードがあるからなんですね。
✅️ソドムとゴモラの詳細は、【聖書】ソドムとゴモラのあらすじとは?何をした結果滅ぼされた?をどうぞ
アブラハムの試練
アブラハムは”信仰の父”と呼ばれる人物ですが、彼の信仰の強さが分かるエピソードがあります。
アブラハムには、高齢になってから神に与えられたイサクという一人息子がいました。
しかし、あるとき神はアブラハムにこう告げたのです。

これはアブラハムにとって、理解しがたい命令でした。
なぜなら、イサクは神が与えてくださった子であり、アブラハムの子孫は増え広がると約束されていたからです。
しかし、アブラハムはそれでも神に従い、なんと本当にイサクを神にささげようとしたのです。
そして、イサクを祭壇に載せ、アブラハムが刃物を振り上げたその瞬間、天使が呼び止めました。

あなたが神を恐れる者であることがよく分かった。
神はアブラハムの信仰を試していたのです。
神の試練を乗り越えたアブラハムに、神は再び星の数ほどの子孫を与え、その子孫によって全世界を祝福することを約束するのでした。

エサウとヤコブ
時が経ち、イサクとその妻リベカの間に双子が生まれました。
兄のエサウと弟のヤコブです。
兄エサウは猟師で体が毛深く、父イサクに愛されていました。
一方で弟ヤコブは穏やかで家にいることが多く、母リベカに愛されていました。
両親は、2人の息子を平等に愛することができなかったのです。
ある日、エサウが狩りから疲れて帰ってくると、ヤコブが豆の煮物を作っていました。
エサウが煮物を食べさせてほしいと頼むと、ヤコブは

と言います。
長子の権利というのは、
- 他の兄弟の2倍の遺産を相続できる
- 父の死後に家族の長になる権利が与えられる
- 父イサクから神の祝福の約束を受け継げる
という特別な権利でした。
しかし、エサウは軽く考えて、この大切な権利を煮物と交換してしまったのです。
さて、年老いたイサクは、死ぬ前にエサウを祝福しようとしました。
しかし、母リベカはヤコブの肩を持ち、子ヤギの毛皮で腕や首を覆わせ、兄の服を着せて父をだまさせます。
結果的に、視力の衰えていたイサクは勘違いしてヤコブを祝福してしまい、祝福を奪われたエサウは激怒。
ヤコブは命を狙われることになり、故郷を逃げ出します。
逃亡中のヤコブは荒野で石を枕に眠ると、不思議な夢を見ました。
地上から天まで届くはしごが立っていて、天使たちが上り下りしているのです。
そして、神がヤコブを祝福して語られました。

あなたの子孫は地のちりのように多くなり、地のすべての部族はあなたとその子孫によって祝福される。
アブラハムやイサクに与えられた神の契約の約束は、ヤコブにも与えられたのです。
ヤコブは母の親戚ラバンのもとに逃れ、そこでラバンの娘ラケルに一目惚れします。
ヤコブはラケルと結婚するため7年間働きました。
ところが結婚式の夜、ラバンにだまされ、姉のレアを妻として渡されます。
その後、ラケルも妻に迎えますが、さらに7年間働かなくてはいけなくなりました。
かつては兄のエサウと父のイサクをだましたヤコブでしたが、今度は自分が伯父のラバンにだまされたのです。
ヤコブには最終的に12人の息子が与えられ、後にこの12人がイスラエル12部族の祖となります。
年月が経ち、ヤコブは再び故郷に帰る決意をしますが、兄エサウに会うことを恐れていました。
しかし、実際に再会すると、エサウは走り寄ってヤコブを抱き、涙ながらに和解しました。

✅️エサウとヤコブの詳細は、【聖書】エサウとヤコブのお話とは?あらすじを簡単にまとめてみたをどうぞ
ヨセフの物語
ヤコブには多くの子どもがいましたが、特に11番目の息子であるヨセフを溺愛していました。
また、ヤコブは彼に特別な服を与えたりしていたため、ヨセフは兄たちから嫉妬されていました。
そして、あるときヨセフが、
- 兄たちの麦の束がヨセフの束にひれ伏す夢
- 太陽と月と11の星がヨセフにひれ伏す夢
を見て、その内容を兄たちに話してしまったことで、ついに兄たちの怒りが爆発。
ヨセフを荒野の穴に投げ込んだ後、エジプトに向かう商人に奴隷として売ってしまいました。
兄たちは父ヤコブにはヨセフは獣に殺されたと思わせて、ヤコブはヨセフの死を嘆き悲しみました。
さて、ヨセフはエジプトでポティファルという役人に買い取られ、仕えることになりました。
誠実に働いたので信頼されますが、ポティファルの妻に誘惑され、それを拒んだために
「ヨセフが乱暴しようとした」と濡れ衣を着せられ、牢に入れられてしまいます。
しかし、ヨセフには人の夢を解き明かす才能があり、牢の中でヨセフは同じ囚人たちの夢を正確に解き明かしました。
その評判を聞いたエジプト王ファラオは、自分の夢を解き明かしてもらおうとヨセフを呼びつけます。
ファラオが見た夢は、このようなものでした。
- 7頭の肥えた雌牛が、7頭のやせた雌牛に食い尽くされる
- 豊かに実った7つの穂が、しなびた7つの穂に呑みこまれる
すると、ヨセフはその夢の意味を解き明かして言いました。

この知恵によってヨセフはファラオに認められ、国のナンバー2に当たる、いわば総理大臣のような立場になりました。
いつも神がヨセフのそばにいて導いてくださったからです。
飢饉が実際に起こると、食べ物を求めてカナンに住む兄たちがエジプトにやって来ました。
ヨセフは兄たちに気づきましたが、兄たちはヨセフに気づかず、ヨセフの前にひれ伏します。
少年時代のヨセフの夢が、現実になった瞬間ですね。
ヨセフは兄たちが昔と変わったのかを試すために、かつての自分への裏切りを思い出させるような状況を作り出しました。
やがて兄たちが以前とは違って良い方向に変わっていることが分かると、ヨセフは涙を流して名乗ります。

こうして兄弟は和解し、ヤコブの家族もエジプトに移住することとなります。
このヨセフ物語は聖書の中でも屈指の感動もので、僕も大好きなお話ですね!
✅️ヨセフ物語の詳細は、【聖書】ヨセフ物語のあらすじとは?わかりやすく簡単にまとめてみたをどうぞ
出エジプト
ヨセフのおかげでエジプトに移り住んだヤコブの子孫(イスラエル人)は繁栄し、時が経つにつれ非常に数が多くなりました。
しかし、ヨセフの存在を知らない新しい王が現れると、増えすぎたイスラエル人は脅威の存在に変わっていきます。
イスラエル人を恐れたエジプト王ファラオは、イスラエル人を奴隷として扱うようになりました。
彼らは重労働を強いられ、苦しみの中で神に助けを叫び求めるようになります。
そんな時代に生まれたのがモーセです。
モーセはイスラエル人でありながら、エジプトの王女に拾われて育ちました。
しかし、大人になったモーセは、イスラエル人がエジプト人に虐待されているのを見て、そのエジプト人を殺してしまいます。
このことでモーセはエジプト王ファラオに追われる身になり、ミディアンという地で羊飼いとして暮らすようになりました。
時は流れ、モーセが羊の群れを追って神の山ホレブに来ると、火がついているのに燃え尽きない不思議な柴を見つけます。
すると、燃える柴の間から神の声が聞こえ、このように語られました。

神から大きな使命を与えられたモーセとその兄アロンは、ファラオのもとへ向かい、イスラエル人の解放を訴えます。
しかし、ファラオがそれを拒否したため、神は以下の10の災いをエジプトに下しました。
- ナイル川の水が血に変わる
- カエルを放つ
- ブヨを放つ
- アブを放つ
- 家畜に疫病(えきびょう)を流行らせる
- 腫(は)れ物を生じさせる
- ヒョウを降らせる
- イナゴを放つ
- 暗闇でエジプトを覆(おお)う
- エジプトの長子が皆死ぬ
それでも頑なにモーセたちの言う事を拒否し続けていたファラオでしたが、
10番目の「ファラオの子を含めたエジプトの長子が皆死ぬ」という災いが起きたところでついに折れました。
我が子を失ったファラオはイスラエル人を解放し、彼らは一斉にエジプトを出発します。
しかし、心変わりをしたファラオは、軍隊を率いて追いかけてきました。
モーセたちの目の前には海、背後にはエジプト軍という状況であり、まさに絶体絶命です。
しかし、そのときモーセが海に向かって手を差し伸べると、とんでもない奇跡が起こりました。
なんと海がパッカーンと二つに分かれ、道が現れたのです。
これが有名なモーセの海割りのシーンですね。
モーセたちは海の間を歩いて渡りますが、エジプト軍が追いかけると海は元に戻り、彼らは飲み込まれてしまいます。
こうして救われたイスラエルの民は神を賛美し、カナンの地へと向かうのでした。
✅️出エジプトについては、【要約】出エジプト記とは?あらすじをわかりやすくまとめてみたをどうぞ
モーセの十戒
エジプトを脱出したイスラエルの民は、荒野を進み、シナイ山のふもとに到着しました。
すると、神はイスラエルの民に“十戒”の教えを与えられます。
十戒とは、神がイスラエル人に与えられた10の戒めのことで、その内容は以下の通りです。
- あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。
- あなたはいかなる像も造ってはならない。
- あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
- 安息日を心に留め、これを聖別せよ。
- あなたの父母を敬(うやま)え。
- 殺してはならない。
- 姦淫(かんいん)してはならない。
- 盗んではならない。
- 隣人に関して偽証(ぎしょう)してはならない。
- 隣人の家を欲してはならない。
十戒は道徳や法の基盤にもなり、西洋の文化・法律にも影響を与えました。
モーセは神から授かった十戒や法を人々に読み聞かせ、人々はそれらを行い守ることを誓います。
こうして、神との契約(シナイ契約)が成立したのです。
その後、モーセは40日間シナイ山にこもり、神から十戒の教えが書かれた2枚の石板を授かりました。
ただ、モーセが神から石板を授かっている間、イスラエル人の間では大変なことが起きていました。
イスラエル人たちはモーセが中々山を下りてこないので不安になり、金の耳輪を集めて金の子牛像を作ってしまったのです。
彼らは、

と叫び、お祭り騒ぎ。
しかし、これは唯一の神以外のものをあがめる偶像礼拝であり、彼らは早速十戒の掟を破ってしまったのです。
当然、山を下りてきて、この神への裏切り行為を見たモーセは激怒。
神から授かったばかりの2枚の石板を投げつけて、砕いてしまいました。
また、子牛の像を砕いて粉々にし、水の上にまいてそれをイスラエル人に飲ませました。
さらに、神の裁きとして、その日の内に3000人のイスラエル人が処刑されました。
その後、モーセは再び神から2枚の石板を授かり、それらは純金で覆われた箱(契約の箱)に大切に収められます。
ちなみに、イスラエル人はこの後も何度も不信仰なことをやらかして、神の怒りを買うことになります。
結果的に、罰としてイスラエル人は荒野を40年間もさまようことになりました。
✅️十戒の詳細は、【わかりやすく】モーセの十戒の内容とは?簡単にまとめてみたをどうぞ
カナンの征服
モーセの死後、後継者のヨシュアがリーダーとなって民を導きました。
モーセはカナンの地に入る前に亡くなってしまいますが、ヨシュアはついにカナンの地に足を踏み入れます。
ヨシュアの使命は、イスラエルを率いて約束の地カナンを征服することであり、最初の大きな戦いはエリコの戦いでした。
エリコは堅い城壁で囲まれており、中々破れそうにありません。
すると、神はヨシュアに以下のような不思議な命令を下しました。
- 兵士や祭司にエリコの町の周りを毎日一周させること
- 祭司には契約の箱を担がせ、角笛を吹きながら歩かせること
- 7日目には7週回らせて、祭司の長い角笛の音を合図に民が大声を上げること
するとどうでしょう。
あれだけ頑丈なエリコの城壁がガラガラと崩れ落ちたのです。
こうして、ヨシュアたちはエリコを占領することができました。
その後もヨシュアたちは戦いを勝ち進み、カナンの地を次々と征服していきました。
カナンの征服によって、イスラエルはついに約束の地を得たのです。
カナンを征服し終えたヨシュアは、くじ引きで部族ごとに土地を割り当てました。
✅️ヨシュアの詳細は、【聖書】ヨシュアってどんな人?ほぼ負けなしの天才指導者?をどうぞ
怪力サムソン
ヨシュアの死後、イスラエルには後を継ぐ指導者がおらず、代わりに神が立てた指導者が“士師”と呼ばれる人たちです。
士師は民を導き、敵から救うリーダーの役割を担いました。
士師の中でも特に有名なのが、超人的な怪力を持つサムソンです。
イスラエルがペリシテ人に苦しめられていた時代に生まれたサムソンは、ライオンを素手で引き裂くほどの力を持っていました。
しかし、一方でサムソンは女性に弱く、だまされやすいという弱点も持っていました。
そのことがよく分かるのが、デリラとのエピソードです。
サムソンは、デリラという女性を愛していました。
そのことを知った敵のペリシテ人の指導者たちは彼女にお金をあげる代わりに、サムソンの力の秘密を探るように命じます。
デリラは何度もサムソンに問い詰めますが、最初サムソンは嘘をついてごまかしました。
しかし、デリラが何度も迫り続けるため、ついにサムソンは髪を剃ると力を失うことを打ち明けてしまいます。
結果的に、サムソンは寝ている間に髪を剃られ、ペリシテ人たちに捕らえられてしまいました。
ある日、ペリシテ人は大きな祭りを開き、捕らえられたサムソンをあざ笑うために連れ出します。
そのとき、サムソンの髪は伸び始めており、サムソンは神に祈りました。

そして、神殿の中央の柱を力いっぱい押すと、建物は崩れ落ちました。
結果的にサムソン自身も命を落としましたが、多くのペリシテ人を道連れにすることができたのです。

✅️サムソンの詳細は、【聖書】怪力サムソンとは?その生涯をざっくり解説しますをどうぞ
最初の王サウル
士師の時代の終わりに、イスラエルで最初の王様になったのはサウルという人物でした。
サウルは背が高く、容姿も美しい青年であり、初めは謙虚な人物でした。
しかし、戦いを勝ち進めるに連れて次第にサウルは傲慢になり、神の命令に従わなくなっていきます。
決定的だったのは、アマレク人との戦いのときです。
神はアマレクに関するものは家畜も含めてすべて滅ぼせと命じましたが、サウルはこの命令を無視。
値打ちのある家畜などを惜しんで、滅ぼさずにおいてしまったのです。
その結果、神はサウルを王に立てたことを悔やみ、サウルの元を去ってしまいました。
最終的にサウルは、ペリシテ人との戦いで追い詰められ、自ら命を絶つという悲劇的な最期を遂げます。
✅️サウル王の詳細は、【聖書】サウル王ってどんな人?イスラエルの初代王様!?をどうぞ
英雄ダビデ王
さて、サウル王の後を継いでイスラエル2代目の王様となったのは、ダビデという人物です。
ミケランジェロのダビデ像でもおなじみですね。
ダビデはイスラエル史上最も偉大な王とされますが、元々は羊飼いで末っ子という低い身分でした。
そんなダビデが頭角を表すようになったのは、巨人ゴリアテとの戦いのときからです。
イスラエルとペリシテ人の間で戦争が起きたとき、ペリシテ軍にはゴリアテという巨人の戦士がいました。
ゴリアテは身長が3メートル近くもある大男であり、イスラエルの兵士たちは誰もが恐れおののいていました。
そんなときに現れたのが、まだ若い羊飼いの少年ダビデです。
ダビデは最初兄たちの元へ食べ物を届けに来ただけでしたが、ゴリアテの挑発を聞くと怒り、自ら戦おうとします。
そして、ダビデは杖と石投げ、そして川で拾った5つの石だけを持ってゴリアテのもとへ向かいました。
ダビデの姿を見てバカにするゴリアテでしたが、ダビデの放った石はゴリアテの額に命中。
ゴリアテは倒れ、ペリシテ軍は逃げ出してしまいました。
この戦い以降もダビデは戦いに勝ち続け、人々の人気を集めていきました。
しかし、そんなダビデに嫉妬し始めたサウル王は、ダビデの命を狙うようになります。
一方で、ダビデは逃亡生活の中でサウルを殺す機会が何度かありましたが、

として手を出しませんでした。
そして、サウルの死後、ダビデは全イスラエルを統一して2代目の王様となり、エルサレムを首都に定めました。
こうして見ると、まさに完璧な人物に見えるダビデですが、実は大きな失敗もしています。
戦いの途中、エルサレムに留まっていたダビデはある日、王宮の屋上から一人の美しい人妻バト・シェバが水浴びしているのを見かけます。
恋に落ちたダビデはなんとバト・シェバと性的な関係を持ったばかりか、その夫であるウリヤを戦場に送り出して殺してしまったのです。
つまり、ダビデは不倫と殺人というとんでもない罪を犯してしまったんですね。
その後ダビデは罪を悔い改めますが、罰としてバト・シェバとの間の最初の子どもは生まれてすぐに死んでしまいました。
ただ、この後バト・シェバは再び妊娠し、ダビデの後継者となるソロモンが生まれることになります。
✅️ダビデの詳細は、【聖書人物】ダビデってどんな人?その生涯をわかりやすくまとめてみたをどうぞ
賢者ソロモン王
ダビデの後を継いでイスラエル3代目の王様になったのは、ソロモンです。
ソロモンもアニメやゲームなどでよく出てくる名前なので、聞いたことがある方は多いかもしれません。
あるとき、神がソロモンの夢に出てきて言われました。

するとソロモンは、民を正しく裁き、善悪を判断できる知恵を望みます。
神はその願いを喜び、ソロモンに並外れた知恵だけでなく、富や栄光までも与えると約束されました。
実際にソロモンの高い知恵は政治にも大いに生かされ、イスラエルの黄金時代を築きました。
ソロモンの知恵の高さを表す代表的なエピソードに、ソロモンの裁きがあります。
ある日、二人の女性がソロモン王の前にやって来て、連れてきた一人の赤ん坊を自分の子だと主張しました。
2人は同じ家に住み、同じ時期に子を生んだのですが、一方の子が死んでしまったそうなのです。
すると、ソロモンは家臣に剣を持って来させて、こう命じました。

これを聞いた片方の女性は、叫びました。

ところが、もう一人の女性は言いました。

ソロモンはこれを見て言いました。

人々はこの裁きを見て恐れ、ソロモンの知恵が神から来ていることを知ったのです。
また、ソロモンはたくさんの格言や歌を作ったと言われていて、その中でも知恵が存分に発揮されていますね。
実際、伝統的に旧約聖書の
- 箴言
- 伝道者の書
- 雅歌
はソロモンが書いたとされています。
エルサレムに神殿と宮殿を建設したのも、ソロモンです。
このように、輝かしい功績をいくつも残したソロモンですが、彼も大きな失敗をやらかしてしまいます。
ソロモンには700人の妻と300人の側室がおり、その中には外国の女性が多く含まれていました。
ソロモンは妻たちが異教の神々を拝むことを許してしまったばかりか、
自分自身も異教を取り入れ、拝むようになってしまったのです。
これは偶像礼拝の罪ですね。
激怒した神は、ソロモンの王国が将来分裂することを告げます。
実際に、ソロモンの死後、イスラエル王国は
- 北イスラエル王国
- 南ユダ王国
に分裂してしまうのでした。
✅️ソロモンの詳細は、【伝説】ソロモン王とはどんな人物?生涯や様々な伝説など徹底解説をどうぞ
バビロン捕囚
分裂してしまったイスラエル王国ですが、
北イスラエル王国は歴代の王が偶像礼拝を繰り返したことで神の怒りに触れ、前722年にアッシリア帝国に滅ぼされてしまいます。
残った南ユダ王国も神に背き、偶像礼拝などの罪に陥っていきました。
様々な預言者たち(イザヤ・エレミヤ・エゼキエルなど)が神につかわされて「悔い改めよ」と警告しましたが、人々は耳を貸さなかったのです。
その結果、前586年に新バビロニア帝国によって滅ぼされ、エルサレムにあるソロモンの神殿も破壊。
多くの民は殺され、生き残った人々はバビロンへ連行されました。
これがバビロン捕囚と呼ばれる出来事です。
こうして、連れて行かれたユダの人々は、異国の地で下働きとして暮らさなければならなくなります。
ただ、信仰の拠り所だったエルサレムの神殿を失った彼らは、十戒などの律法に基づく生活を送ることで民族のアイデンティティを保とうとします。
結果的に、ユダヤ教の基礎が築かれていき、イスラエル人と呼ばれていた彼らはユダヤ人と呼ばれるようになりました。
✅️バビロン捕囚の詳細は、【聖書】バビロン捕囚とは?わかりやすくその歴史をまとめてみたをどうぞ
エルサレム帰還
とは言え、バビロン捕囚のときにも終わりが来ました。
前539年に新バビロニア帝国が、キュロス2世が率いるペルシャ帝国に滅ぼされたのです。
前538年にキュロス2世は、バビロン捕囚されていたユダヤ人の帰還と神殿建設を許可。
ユダヤ人たちは故郷のエルサレムへと帰ることができたのです。
その後ユダヤ人はエルサレムで神殿(第二神殿)を再建し、ユダヤ人の共同体意識は高まりました。

新約聖書の内容をわかりやすく解説

続いては、新約聖書の内容に入っていきます。
- 受胎告知
- イエスの誕生
- イエスの洗礼(洗礼者ヨハネ)
- 荒野の誘惑
- 伝道活動と12弟子
- 山上の説教(山上の垂訓)
- イエスのたとえ話
- イエスの奇跡
- ユダヤ教指導者との対立
- エルサレム入城
- 最後の晩餐
- イエスの逮捕と裁判
- イエスの十字架刑
- イエスの復活と昇天
- ペンテコステ(聖霊降臨)と教会の誕生
- パウロの回心
- パウロの伝道旅行
- ヨハネの黙示録

受胎告知
時は流れ、ユダヤ人たちはローマ帝国によって支配されていました。
そして、ユダヤ人たちは旧約聖書の時代から預言されていた、メシア(救い主)の登場を待ち望んでいました。
彼らはこのメシアが自分たちをローマ帝国から救い、新しい王国を立ててくれると信じていたのです。
その頃、ガリラヤのナザレという小さな町に、マリアという若い女性が住んでいました。
彼女はヨセフという男性と婚約中でしたが、ある日、天使ガブリエルがマリアのもとに現れ、驚くべきことを告げます。

その子をイエスとつけなさい。
突然のことに驚き戸惑うマリアでしたが、ガブリエルはさらに言いました。

神に不可能なことは何もありません。
すると、マリアは信仰によってその言葉を受け入れました。
マリアのこの姿勢は、いまだに信仰の模範として語り継がれていますね。
このシーンは受胎告知と呼ばれ、頻繁に絵画などのモチーフにもなっています。
一方、婚約者のヨセフもマリアの妊娠に驚きますが、天使ガブリエルがヨセフの夢の中に現れて言いました。

マリアのお腹の子は聖霊によって身ごもったのです。その子の名をイエスとしなさい。
この方がご自分の民を罪からお救いになるのです。
ヨセフは天使が命じた通り、マリアを妻として迎えることにしました。
✅️受胎告知の詳細は、【聖書】受胎告知とは?クリスチャンがわかりやすく解説をどうぞ
イエスの誕生
マリアが身ごもっていた頃、ローマ皇帝アウグストゥスの勅令により祖先の土地で住民登録が行われることになりました。
ヨセフはダビデの子孫だったため、マリアとともにベツレヘムへと旅立ちます。
ベツレヘムに入る頃、マリアが出産しそうになりますが、泊まるところがなかったため仕方なく家畜小屋のような場所に行きました。
その夜、マリアは男の子を産みました。
この子こそ神が約束された救い主、イエス・キリストです。
この知らせを聞いた羊飼いたちもやって来て、大喜びで祝福をしました。
また、しばらくして、東方から星を研究する博士たちもやって来ます。
彼らはベツレヘムで幼子イエスを見つけるとひれ伏し、黄金・乳香・没薬を贈り物としてささげました。

✅️イエスキリストの詳細は、【完全版】イエス・キリストとはどんな人?その生涯を簡単にまとめてみたをどうぞ
イエスの洗礼(洗礼者ヨハネ)
イエスが誕生してから時は流れ、ヨルダン川にイエスの出現を預言していた洗礼者ヨハネという人物が現れました。
彼は荒野で神の声を聞き、

悔い改めて洗礼を受ければ、罪がゆるされる。
と人々に説いていました。
ちなみに、洗礼者ヨハネの生き方は、
- ラクダの毛衣を着て
- 腰には革の帯を締め
- いなごと野蜜を食べて暮らす
という非常に禁欲的なもの。
周りからしたら、相当変わった人ですよね。
しかし、人々は救いを求めて彼のもとで罪を告白し、ヨルダン川で水の洗礼を受けました。
洗礼はバプテスマとも呼ばれ、水に体を浸すことで罪を清める儀式のことです。
すると、そこにイエスが現れ、ヨハネに

と言われます。

と恐縮するヨハネでしたが、言われた通りイエスに洗礼を授けました。
すると天が開けて聖霊が鳩のようにイエスの上に降り、

という声が天から聞こえました。
この洗礼をきっかけに、イエスは公に活動を始めていきます。
✅️洗礼者ヨハネについては、洗礼者ヨハネとは?イエスとの関係や生涯についてご紹介【聖書人物】をどうぞ
荒野の誘惑
ヨハネから洗礼を受けた後、イエスは荒野に行き、40日間の断食をされました。
イエスがひどい空腹を覚えていたとき、そこにサタン(悪魔)が現れます。
そして、イエスに3つの誘惑を仕掛けました。
サタンはイエスに言いました。

しかし、イエスは言われました。

また、サタンはイエスをエルサレムに連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて言いました。

天使たちが守ると聖書に書いてあるじゃないか。
イエスは言われました。

さらに、サタンはイエスを非常に高い山に連れていき、この世のすべての王国とその繁栄を見せて言いました。

イエスは言われました。

「あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ。」と聖書に書いてある。
すると、サタンはイエスから離れていきました。
こうしてイエスは試練を乗り越え、公の働きを始める準備を整えたのです。
伝道活動と12弟子
公での活動を始めたイエスは、ガリラヤで神の教えを説く伝道活動を始め、

と宣べ伝えます。
そして、差別されていた人や病気の人など社会的に弱い人にも、愛を持って救いの手を差し伸べていかれました。
こうして、イエスは人々の尊敬を集めるようになります。
また、イエスは行く先々で弟子をスカウトしていきました。
中でも、イエスに選ばれた12人の弟子たちのことを12弟子(12使徒)といいます。
そのメンバーは、以下の通りです。
- ペテロ
- アンデレ
- ゼベダイの子ヤコブ(大ヤコブ)
- ヨハネ
- フィリポ
- バルトロマイ(ナタナエル)
- トマス
- マタイ
- アルファイの子ヤコブ(小ヤコブ)
- タダイ
- 熱心党のシモン
- イスカリオテのユダ
12使徒というと何やらすごい人たちを想像するかもしれませんが、彼らは特別優れた人たちではありませんでした。
むしろ、漁師や取税人など、社会的地位が低かったり蔑まれていたりするような人も多かったのです。
また、師であるイエスを疑ったり裏切ったりする人間的な弱さも抱えていました。
しかし、イエスはそういった人たちをあえて選ばれたんですね。

✅️12弟子(12使徒)については、【完全版】イエスの12使徒とは?殺され方が残酷だった?をどうぞ
山上の説教(山上の垂訓)
イエスは人々に様々な教えを語りましたが、特に大群衆の前で行った山上の説教(山上の垂訓)が有名です。
山上の説教では、キリスト教の中心的な教えがたくさん語られており、世界の平和運動や人権思想にも強い影響を与えました。
非暴力・不服従を唱えた”インド独立の父”マハトマ・ガンディーも、山上の説教に大きな影響を受けたと語っています。
山上の説教から、いくつか実際の聖書箇所を引用してみましょう。
「こころの貧しい人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。 4悲しんでいる人たちは、さいわいである、彼らは慰められるであろう。 5柔和な人たちは、さいわいである、彼らは地を受けつぐであろう。 6義に飢えかわいている人たちは、さいわいである、彼らは飽き足りるようになるであろう。 7あわれみ深い人たちは、さいわいである、彼らはあわれみを受けるであろう。 8心の清い人たちは、さいわいである、彼らは神を見るであろう。 9平和をつくり出す人たちは、さいわいである、彼らは神の子と呼ばれるであろう。 10義のために迫害されてきた人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。 11わたしのために人々があなたがたをののしり、また迫害し、あなたがたに対し偽って様々の悪口を言う時には、あなたがたは、さいわいである。 12喜び、よろこべ、天においてあなたがたの受ける報いは大きい。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。」
(マタイによる福音書5:3-12)
「 『目には目を、歯には歯を』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 39しかし、わたしはあなたがたに言う。悪人に手向かうな。もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。」
(マタイによる福音書 5:38,39)
「『隣り人を愛し、敵を憎め』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 44しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。」
(マタイによる福音書 5章43,44節)
「求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。8すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。」
(マタイによる福音書 7:7)
特に右の頬を打たれたら、の聖句は非常に有名ですね。
ちなみに、狭き門、豚に真珠など、山上の説教の言葉が由来になった言葉もいくつかありますね。
イエスが語られたこうした教えは、当時一般的だったユダヤ教の教えを覆す革命的なもので、多くの人々を驚かせました。
✅️山上の説教の詳細は、【名言7選】山上の垂訓(説教)とは?わかりやすく解説しますをどうぞ
イエスのたとえ話
イエスの教えの特徴の一つは、多くのたとえ話を用いる点でした。
イエスのたとえ話は、シンプルで分かりやすい物語ですが、その中には深い神学的真理が込められています。
例えば、イエスのたとえ話で有名のものの一つに“放蕩息子”があります。
ある家に二人の息子がおり、弟のほうが父にこう言いました。

何とも失礼な話ですが父はそれを拒まず、財産を二人に分け与えました。
弟はその財産を手に遠い国へ旅立ちます。
弟はそこで贅沢三昧の生活を送り、遊びと快楽に財産を使い果たしました。
やがて大きな飢饉が起こり、何も持たない彼は食べる物さえなくなります。
豚の世話をする仕事を得ましたが、豚の食べる豆さえ食べたいほど飢えていました。
そこで彼は我に返り、こう思いました。

弟は決心して父のもとに帰りました。
ところが、まだ遠くにいるのを父は見つけ、弟を走り寄って抱きしめ、口づけしました。
息子は言いました。

もう息子と呼ばれる資格はありません。
しかし父は言いました。

指輪をはめさせ、履物を履かせなさい。肥えた子牛をほふって、祝いの宴をしよう。
この息子は死んでいたのに生き返り、失われていたのに見つかったのだから!
家は喜びに満ちました。
一方、畑にいた兄はこの祝いを知り、怒って家に入ろうとしませんでした。
父が出てきてなだめると、兄は言いました。

でもあの放蕩した弟が帰ってきたら、こんな宴を開くのですか!
父は答えました。

だが、お前の弟は死んでいたのに生き返り、失われていたのに見つかったのだ。
喜び祝うのは当然ではないか。
このたとえは、神の愛がどれほど深いかを示しています。
私たち人間がどんなに罪を犯して神から離れてしまっても、悔い改めて戻ってくれば、神は走り寄って抱きしめてくださるのです。
このようにイエスはたとえ話を通して、様々な真理を語られたのでした。
✅️イエスのたとえ話については、【一覧】聖書のイエスの例え話7選!なぜこんなに例えを用いた?をどうぞ
イエスの奇跡
また、イエスはその活動の中で、驚くような様々な奇跡を起こされました。
例えば、
- 水をぶどう酒に変える
- 人の病気を癒す
- 悪霊を追い出す
- 嵐をしずめる
- 水の上を歩く
などなど。
中でも驚きなのは、イエスが死者さえも蘇らせているという点です。
例えば、ラザロの蘇生のエピソードを見てみましょう。
ラザロはイエスの友人であり、彼が重い病気という知らせを聞きます。
しかし、イエスが到着する間にラザロは亡くなり、墓に葬られて4日が経っていました。
ラザロの墓の入口は石で塞がれていましたが、イエスは石を取りのけさせて叫ばれました。

すると、なんと死んでいたラザロが、手足を布で巻かれたまま出てきたのです。
これはイエスの力が、死の領域さえ超えていることを示しています。
これらの奇跡によって、イエスの名声はますます高まっていくのでした。
ちなみに、イエスは後に自分自身も死から復活するという最大の奇跡を起こすことになります。
✅️イエスの奇跡の詳細は、【聖書】イエス・キリストが起こした奇跡エピソード15選まとめをどうぞ
ユダヤ教指導者との対立
イエスの人気が高まっていく一方で、ユダヤ教の指導者たちとは対立が深まっていきました。
なぜなら、イエスの教えは今までのユダヤ教の教えを覆すものであり、イエスも律法や伝統の形式だけを重んじるユダヤ教を批判していたからです。
また、群衆の支持を得るイエスに対して、彼らの権威や立場が揺らぐことへの恐れもあったでしょう。
そのため、ユダヤ教指導者たちも幾度となくイエスを批判し、論争を繰り返しました。
まあその度にイエスが彼らを論破してしまうのですが。
こうして憎しみが募っていった彼らは次第に、イエスを殺そうと計画するようになります。

エルサレム入城
イエスはガリラヤやユダヤで多くの教えと奇跡を行った後、弟子たちと共にいよいよエルサレムへ向かいました。
これは自分が十字架にかけられることを知りつつ、あえて都へ入る決意の行動です。
イエスは弟子たちに子ろばを連れて来させると、イエスはその子ろばに乗ってエルサレムへ進みました。
ユダヤの王がロバに乗ってエルサレムに入城する場面は、旧約聖書で預言されていたことであり、
その通りにすることでイエスはご自分がメシア(救い主)であることを示されたのです。
過越祭というお祭りのためにエルサレムに集まっていた群衆は、
イエスこそローマの支配から解放してくれる王(救い主)だと考えて大熱狂。
イエスに敬意を表し、服や木の枝を道に敷き、

という歓喜の声でイエスを迎えました。
ただ、エルサレム入城は、イエスが王として迎えられた瞬間でありながら、同時に十字架への道の始まりでもありました。
イエスが自分たちが期待したような行動を何もしないので、やがて群衆はイエスをただの無力な男と見るようになります。
そして、群衆の「ホサナ!」の叫びは数日後、「十字架につけろ!」という叫びに変わっていくのです。
✅️エルサレム入城の詳細は、【解説】エルサレム入城とは?イエスキリスト復活の1週間前!?をどうぞ
最後の晩餐
イエスが十字架にかけられる前日のこと。
過越祭の日がやって来ると、イエスは弟子たちに過越の食事の用意をさせました。
過越祭とは、出エジプトの時にイスラエルの民が奴隷から解放されたことを記念するお祭りのことです。
この食事がレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画でも有名な最後の晩餐ですね。
弟子たちが席につくと、イエスは弟子たちに言われました。

突然のショッキングな予告に弟子たちは動揺し、

と次々に尋ねます。
イエスは、

と言われました。
その人物こそ、イエスを銀貨30枚で売ったイスカリオテのユダでした。
ユダの裏切りの理由は明らかになっていませんが、このユダの裏切りによってイエスは十字架にかけられることになります。
また、食事の後、イエスは弟子のペテロに、

と予告されました。
ペテロは強く否定しましたが、後にその通りになってしまいます。
最後の晩餐は、イエスが十字架にかかる前に弟子たちへ残した最大のメッセージでした。
✅️最後の晩餐の詳細は、最後の晩餐とは?参加者13人の名前などわかりやすく解説【聖書】をどうぞ
イエスの逮捕と裁判
最後の晩餐の後、イエスが弟子たちを連れてエルサレム郊外のゲッセマネの園で祈っていると、ユダが大勢の群衆を連れてやって来ました。
イエスを捕らえに来たのです。
ユダは、

と合図を決めており、イエスに近づいて口づけしました。
その場でイエスは捕らえられますが、イエスに従っていた弟子たちはイエスを見捨てて逃げ出してしまいます。
連行されたイエスは、宗教的罪人として大祭司カイアファとサンヘドリン(ユダヤ最高法院)の前に立たされました。
とは言え、既に彼らはイエスを死刑にすることを決めていたため、形だけの裁判でした。
しかし、イエスを有罪にする確かな証言や証拠は中々出てきません。
そこでカイアファはイエスに対して

と尋ねます。
イエスが肯定すると、大祭司たちはここぞとばかり死刑に当たると叫び、イエスを侮辱しました。
ただ、最高法院には死刑執行の権限がなかっため、イエスはユダヤ総督ピラトの元へ送られることになります。
ピラトはイエスに罪を見いだせず、彼を釈放すべきと考えましたが、群衆は

と叫びます。
イエスをメシア(救い主)と期待していた群衆は、ローマ支配に対して立ち上がろうとしないイエスに対して失望していたのです。
結局、ピラトは群衆に押され、ついにイエスは十字架にかけられることとなりました。
イエスの十字架刑
十字架刑というのは、当時最も残酷で屈辱的な処刑方法でした。
兵士たちはイエスを鞭打ち、茨の冠をかぶせ、

と侮辱しました。
そして、イエスは重い十字架を背負わされ、処刑場のゴルゴタの丘まで歩かされます。
丘に着くと、イエスは両手両足を釘で打ちつけられ、十字架にかけられました。
彼の頭上には「これはユダヤ人の王イエスである」と書かれた罪状書きが掲げられ、群衆や指導者たちはイエスをあざけりました。
しかし、そんな状況でもイエスは、

自分が何をしているのか分からないのです。
とゆるしの祈りをしたといいます。
そして、イエスは大声で叫び、午後3時頃に息を引き取りました。
イエスは罪を犯していないにも関わらず、十字架にかけられて死なれたのです。
それはアダムとイブの頃から続く、人類すべての罪を身代わりに背負うためでした。
イエスは神の子でありながら人として地上に来られ、使命を全うされたのです。
イエスの遺体は、アリマタヤのヨセフという人物の墓に葬られました。
✅️イエスの十字架刑の詳細は、【閲覧注意】十字架刑の苦痛はどれくらい?想像以上にヤバ過ぎる刑だったをどうぞ
イエスの復活と昇天
イエスが十字架にかかられてから三日目の朝、数人の女性が墓に行きました。
すると、大きな地震が起こり、天使がお墓の入口にあった石をわきに転がしてその上に座ったのです。
天使は言いました。

復活されたのです。
イエスは死を打ち破って復活したことで、ご自身が神の子で救い主であることを証明したのです。
その後、イエスは弟子たちの前にも姿を現し、手の釘跡と脇腹の傷を見せました。
しかし、このとき弟子のトマスだけはおらず、

と語りイエスの復活を信じることができなかったため、後に”疑いのトマス”という不名誉な呼び名が付くことになります。
ただ、その後イエスがまた現れたので、トマスは信じることができました。
その後もイエスは弟子たちの前に現れ、自らのメッセージを伝えました。
そして、エルサレムの郊外にあるベタニアの近くまで弟子たちを連れて行くと、彼らを祝福して天に登って行かれたのです。
ペンテコステ(聖霊降臨)と教会の誕生
イエスは昇天する前から、弟子たちに聖霊が降ることを約束されていました。
聖霊というのは、神の霊のことであり、力を与えたり導いたりしてくれる存在のことです。
そして、過越の祭りから50日後に行われる五旬節というお祭りの日、弟子たちが集まっているとついにその時がやって来ました。
聖霊が弟子たちの上に降り、色んな国の言葉を話し始めたのです。
この出来事はペンテコステ(聖霊降臨)と呼ばれ、
以前は頼りなかった弟子たちが聖霊によって生まれ変わり、イエスのことを大胆に語り始めました。
弟子のペテロがイエスの教えや復活について語ると、この日だけで3000人の人が洗礼を受けてクリスチャンになります。
こうして、クリスチャンの集まりである教会が誕生していくのです。
✅️ペンテコステの詳細は、【行事】ペンテコステとは?わかりやすくクリスチャンが解説をどうぞ
パウロの回心
聖霊を受けた弟子たちは、力強く人々にキリストのことを伝えるようになりましたが、
キリスト教の拡大に特に大きな働きをしたのはパウロという人物です。
パウロはキリストのことを世界中に広め、新約聖書の多くの手紙を書くなど、キリスト教において多大な功績を残しました。
しかし、実はパウロは元々熱心なユダヤ教徒であり、キリスト教徒を迫害していた人物です。
ところが、ダマスコという町へ向かう途中、突然天から強い光がパウロを照らしました。
彼は地に倒れ、自分に語りかける声を聞きました。

パウロが、

と尋ねると、答えがありました。

この体験の後、サウロは目が見えなくなり、人々に手を引かれてダマスコへ入りました。
パウロは3日間、見ることができず、食べることも飲むこともしませんでした。
ところで、ダマスコには、アナニアというクリスチャンがいました。
幻の中でイエスが現れて、アナニアに言われました。

アナニアがパウロを訪ね、パウロの上に手を置くと、目から鱗のようなものが落ち、再び目が見えるようになりました。
ちなみに、今もよく使われる”目から鱗が落ちる”という言葉は、このシーンが由来になっています。
このときの不思議な体験をしてからパウロは回心し、クリスチャン迫害者から一転。
イエスが救い主であることを熱く語る、熱心なクリスチャンになりました。
こうして、キリストを世界に伝える偉大な伝道者が誕生したのです。
✅️パウロの回心については、パウロの回心とは?わかりやすく内容をまとめてみた【聖書物語】をどうぞ
パウロの伝道旅行
パウロはクリスチャンになってからしばらく年月が経った後、キリストのことを伝える長い伝道旅行へと旅立ちます。
その旅行は3度にも及び、非常に厳しく困難なものでした。
実際、パウロは伝道旅行の中で
- 投獄される
- ムチに打たれる
- 石で打たれる
など、命を落としてもおかしくないような目に何度もあっています。
しかし、それでもパウロは信仰を胸に、キリストのことを人々に伝え続けたのです。
結果的に、キリスト教はユダヤの枠を超えて、世界中に広がっていきました。

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ヨハネの黙示録
新約聖書の最後を締めくくるのは、ヨハネの黙示録です。
著者は伝統的にイエスの弟子ヨハネだと言われていて、当時はクリスチャンがローマ帝国による迫害に苦しんでいた頃でした。
そのため、迫害に苦しむクリスチャンを励まし、最終的な勝利は神にあることを示すために書かれたとされています。
象徴的な内容や世界の終わりに関する預言的な内容が多く、著者のヨハネが神にこれから起こることを示されるというお話です。

イエスの弟子ヨハネは、信仰のゆえにパトモス島という小さな島に流されていました。
孤独の中で祈っていると、突然天が開け、神からの壮大なビジョン(幻)を見ます。
最初にヨハネは、当時のアジア地方にあった7つの教会へのメッセージを受け取ります。
その内容は各教会に対する賞賛の言葉や非難の言葉など、教会へのアドバイスや警告ですね。
次にヨハネは天に挙げられると、まばゆい光に包まれた神の玉座がありました。
そこに「屠られた小羊(イエスキリスト)」が現れ、巻物の封印が解かれていきます。
すると、そのたびに、神の裁きによって戦争・飢饉・地震・疫病など、恐ろしい出来事が地上に広がりました。
その後、7人の天使が順番にラッパを吹き、さらには7人の天使が鉢から神の怒りを注ぎます。
こうして神の裁きによる恐ろしい出来事の描写は、エスカレートしていくのです。
また、
- 竜(サタン)
- 海の獣(反キリスト)
- 地の獣(偽預言者)
といった悪の勢力が現れ、人々を惑わします。
神の怒りが注がれて世界の終末が起こった後、地上には千年王国の時代がやって来ます。
再び地上に来られたキリストがサタンを千年間封印し、平和な時代が訪れるのです。
千年後にサタンが再び解き放たれてこの世を惑わしますが、神の天からの火によって焼き尽くされ、サタンは永遠に火の池に投げ込まれます。
こうして悪は敗北し、裁かれ、二度と人を苦しめられなくなるのです。
その後、最後の審判が行われ、天国に行く者と地獄に行く者が振り分けられます。
死者たちの生前の行いは”いのちの書”に記されていて、ここの名前がないものは地獄に投げ込まれてしまうんですね。
一方で、天の国の住人に選ばれた者たちの前には、神が造られる新しい天と地(新天新地)が姿を現します。
そこには涙も死も苦しみもなく、神と人が永遠に共に住む世界です。
そして、

というイエスキリストの約束で黙示録は締めくくられます。
黙示録というと何やら怖いイメージがあるかもしれませんが、このように、実はヨハネの黙示録は、不安や恐怖の書ではなく、希望の書なのです。
どんなに世界が揺れ動いても、最後には神が勝利し、涙も苦しみもない新しい世界が与えられるという約束が書かれているんですね。
✅️黙示録の詳細は、【終末】ヨハネの黙示録の意味とは?わかりやすくクリスチャンが解説をどうぞ
まとめ:聖書の世界は面白い!

聖書というと、堅いとか宗教臭いというイメージを持つかもしれません。
しかし、こうやって全体のあらすじを追っていくと、映画や小説を何本も合わせたような壮大なストーリーがあって面白くないでしょうか。
また、美しい話だけでなく、人間の罪や弱さも赤裸々に描かれているからこそ、私たちの心に響いてきます。
この記事で少しでも、聖書のイメージが変わって「聖書って結構面白いんだ!」と思っていただけたら幸いです。
そして、ぜひ次は聖書自体を手にとって、読んでみてくださいね!
キートンでした。




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