ジーザス、エブリワン!キートンです。

その生涯や裏切りの理由などについても詳しく知りたい!
こういった疑問にお答えします。
皆さんは、“裏切者”という言葉を聞いて誰を思い浮かべますか?


はい、確かに彼らは有名な裏切者ですね。
しかし、キリスト教の世界にも裏切者の代名詞ともいえる人物がいます。
その人物とは、イスカリオテのユダ。
彼は、イエスキリストを裏切った人物として世界的に知られています。
恐らく裏切り者の知名度ランキングでは断トツでしょう。
でも、皆さんは裏切者という色眼鏡だけでユダという人物を見てやいませんか??
どうやらユダはイメージに反して、”THE 裏切者”というような人間ではなかったようなのです。
では、なぜそんな人物がキリストを裏切ってしまったのでしょうか?
そこでこの記事では、
- イスカリオテのユダとは?
- イスカリオテのユダの生涯
- イスカリオテのユダの人間性
- なぜイエスキリストを裏切ったのか
などをご紹介していきましょう!
目次
“イスカリオテのユダ”とは?

イスカリオテのユダはイエスの12弟子の1人で、他の弟子のユダ(タダイ)とは別人です。
イスカリオテというのはユダヤ地方の村の名前のことで、弟子たちの中で唯一のガリラヤ以外の出身者ですね。
ユダは弟子たちの中で会計係を任されるなど信頼されていましたが、イエスを裏切ったことで裏切り者の代名詞に。
そのせいか、ユダだけは他の弟子たちと違い、カトリックや正教会においても聖人扱いされることはありません。

イスカリオテのユダの生涯
それでは、ユダの悲しき人生を見ていきましょう。。
ユダ、イエスの弟子になる

「十二使徒の名は、次のとおりである。まずペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、熱心党のシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。」
(マタイによる福音書10章2~4節)
ユダはイエスの弟子の1人ですが、どのような経緯で弟子になったかは聖書に書かれていません。
上記のように、いきなり12弟子として名前が出てきますね。

イエスについては、【完全版】イエス・キリストとはどんな人物?その生涯をまとめてみた【5分で分かる】をどうぞ
ユダ、べタニアのマリアを批判する

「4弟子のひとりで、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが言った、 5「なぜこの香油を三百デナリに売って、貧しい人たちに、施さなかったのか」。 6彼がこう言ったのは、貧しい人たちに対する思いやりがあったからではなく、自分が盗人であり、財布を預かっていて、その中身をごまかしていたからであった。」
(ヨハネによる福音書12章4~6節)
弟子入り後、イエス一行の会計係を任されていたユダですが、彼の悪い部分が垣間見えるエピソードが聖書には書かれています。
これは、イエスが十字架に架かられる少し前のこと。
イエスは弟子たちと、ある兄妹の家に立ち寄り、食事をしておられました。
すると、べタニアのマリアが高価なナルドの香油を持ってきてイエスの足に塗り、自分の髪でその足をぬぐい始めたのです。
この香油は、なんと当時の労働者の1年分の給料に値するほど高価な物でした。
これを見たユダは、べタニアのマリアを批判して言いました。

この香油を売れば、そのお金で貧しい人々のためにできることがあっただろうに!
しかし、一見もっともらしいこの意見は、ユダの本心ではありませんでした。
なぜなら、ユダは会計係をしていながら、預かったお金をごまかし不正を行っていたからです。
お金にがめついユダには、べタニアのマリアの信仰による行動は全く理解できませんでした。
すると、イエスはユダを諭し、こう言われました。

彼女は私の埋葬の準備をしてくれているのだから。
べタニアのマリアについては、聖書に登場する「マリア」まとめ!全部で何人いるの!?【それぞれ解説】をどうぞ
ユダ、裏切りを企む

「時に、十二弟子のひとりイスカリオテのユダという者が、祭司長たちのところに行って 15言った、「彼をあなたがたに引き渡せば、いくらくださいますか」。すると、彼らは銀貨三十枚を彼に支払った。 16その時から、ユダはイエスを引きわたそうと、機会をねらっていた。」
(マタイによる福音書26章14~16節)
そんなあるとき、ユダはついに裏切りを企て、それを実行に移し始めます。
ユダは、イエスを殺す機会を伺っていたユダヤ教の祭司長たちのところに行き、こう言ったのです。

こうして、ユダは祭司長たちから銀貨30枚を受け取ってしまいました。
ユダの裏切りが成立した瞬間です。
ユダヤ教の人たちについては、【まとめ】イエス・キリストと敵対したユダヤ教の主な宗派とは?をどうぞ
最後の晩餐

「25イエスを裏切ったユダが答えて言った、「先生、まさか、わたしではないでしょう」。イエスは言われた、「いや、あなただ」。」
(マタイによる福音書26章25節)
その後、イエスと弟子たちは最後の晩餐のときを持つことになりました。
すると、食事中にイエスは弟子たちに突然このようなことを言われました。

この突然の予告に、弟子たちはびっくり仰天。
弟子たちが、自分のことですか?とイエスに問いかける中でユダも言いました。

イエスは言われました。

ユダはこれを聞くと、家を飛び出して行きました。
最後の晩餐については、【徹底解説】”最後の晩餐(ばんさん)”の意味とは?ただのディナーじゃない!?【3分で分かる】をどうぞ
ユダ、裏切りを実行する

「48イエスを裏切った者が、あらかじめ彼らに、「わたしの接吻する者が、その人だ。その人をつかまえろ」と合図をしておいた。 49彼はすぐイエスに近寄り、「先生、いかがですか」と言って、イエスに接吻した。」
(マタイによる福音書26章48、49節)
最後の晩餐の後、イエスがゲッセマネでの祈りを終えると、ユダが祭司長たちや群衆を引き連れてやってきました。
そして、ユダがイエスに

と言って口づけをすると、これを合図に人々はイエスを捕らえました。
しかし、イエスはこのことが起こるのをご存じだったため、全く抵抗をされませんでした。
こうして、ユダの裏切りは実行されてしまったのです。
ちなみに、他の弟子たちはイエスを見捨てて逃げ出してしまいました。

ユダの自殺

「3そのとき、イエスを裏切ったユダは、イエスが罪に定められたのを見て後悔し、銀貨三十枚を祭司長、長老たちに返して 4言った、「わたしは罪のない人の血を売るようなことをして、罪を犯しました」。しかし彼らは言った、「それは、われわれの知ったことか。自分で始末するがよい」。 5そこで、彼は銀貨を聖所に投げ込んで出て行き、首をつって死んだ。」
(マタイによる福音書27章3~5節)
しかし、その後ユダはイエスがローマの最高法院にて有罪判決を受けたことを知ると、強い後悔の念が押し寄せてきました。
そして、祭司長たちのところに行くとこう言いました。

この銀貨30枚はあなたたちにお返しします。
しかし、祭司長たちは答えました。

お前の問題だろう。
これを聞いたユダは絶望し、銀貨を神殿に投げ込むと首を吊って死んでしまいました。
イエスの弟子としてはあまりも寂しい最期でした。
イスカリオテのユダはなぜ裏切った!?
このユダのお話を聞くと必ず湧くであろう疑問は、そもそもなぜユダはイエスを裏切ったのかという点です。
「ときに、十二弟子のひとりイスカリオテのユダは、イエスを祭司長たちに引きわたそうとして、彼らの所へ行った。」
(マルコによる福音書14章10節)
まあ、これだけ歴史的な出来事になっているわけですから、気になるのは当然ですよね。
しかし、結論から言うと、ユダの裏切りの理由はいまだにはっきりとは分かっていません。
なぜなら、聖書に書かれていないからです。
ただし、いくつかの説はあり、
- 説①お金が欲しかったから
- 説②イエスの王国を実現させるため
- 説③政治的指導者としての期待を裏切られたから
などが挙げられます。
それぞれ深堀りしてみましょう。
説①お金が欲しかったから

これは非常にシンプルな理由ですね。
確かに、ユダはべタニアのマリアのエピソードで、お金への強欲さを垣間見せています。
「4弟子のひとりで、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが言った、 5「なぜこの香油を三百デナリに売って、貧しい人たちに、施さなかったのか」。 6彼がこう言ったのは、貧しい人たちに対する思いやりがあったからではなく、自分が盗人であり、財布を預かっていて、その中身をごまかしていたからであった。」
(ヨハネによる福音書12章4~6節)
では、ユダがイエスを売る代わりに得た報酬銀貨30枚は、当時ならどれくらいの値段なんでしょうか。
銀貨30枚というのは、当時の奴隷1人分に相当し、これは日雇い労働者の約90日分の価値があるそうです。
つまり、仮に日給が1万円とすると、1万円×90日=約90万円ということになります。
んーー、いくらユダがお金に汚かったとしても、

という感じは否めないですね。。
一生遊んで暮らせるだけのお金をもらえるならまだ分かりますが!
それに、ユダが本当にお金目当てなら、もっと値上げ交渉をしててもおかしくないと思うんですよ。

お前たちが捕らえたがっていたあのイエスだぞ!?
という感じで。
まあ、真実は分かりませんが。。
説②イエスの王国を実現させるため

実は、ユダはイエスが救い主だと信じていて、あえてイエスを追い込んだという説です。
どういうことかというと、ユダはこう考えました。

追い込まれれば、それがきっかけで王国を実現させてくださるかもしれない!
と。
つまり、ユダに本当に裏切る気持ちはなく、イエスが死ぬとも考えていなかったということです。
イエスのことだから、捕まっても何とかするだろうと。
しかし、その後、イエスは罪に定められて、死んでしまいました。
だからこそ、予想外の展開にユダは後悔し、自殺したと考えることは確かにできるかもしれません。
「3そのとき、イエスを裏切ったユダは、イエスが罪に定められたのを見て後悔し、銀貨三十枚を祭司長、長老たちに返して 4言った、「わたしは罪のない人の血を売るようなことをして、罪を犯しました」。しかし彼らは言った、「それは、われわれの知ったことか。自分で始末するがよい」。 5そこで、彼は銀貨を聖所に投げ込んで出て行き、首をつって死んだ。」
(マタイによる福音書27章3~5節)
ただ、ユダがイエスを本当に救い主だと認めていたのかは怪しいところです。
なぜなら、他の弟子たちがイエスを”主”と呼んでいるのに対して、ユダは一貫してイエスを“ラビ(先生)”と呼んでいるから。
「49彼はすぐイエスに近寄り、「先生、いかがですか」と言って、イエスに接吻した。」
(マタイによる福音書26章49節)
ユダが、イエスをただの教師と考えていた可能性も充分にありますね。
説③政治的指導者としての期待を裏切られたから

当時、ユダヤ人はローマ帝国に支配されていました。
そして、ユダはイエスこそユダヤ人をローマの支配から解放してくださる方だと期待していたという説です。
つまり、政治的指導者としての期待ですね。
しかし、イエスはローマと戦うどころか、自分の死を予告し出す始末。
そのことにユダは失望し、裏切ったのではないかということですね。
「8この女はできる限りの事をしたのだ。すなわち、わたしのからだに油を注いで、あらかじめ葬りの用意をしてくれたのである。」
(マルコによる福音書14章8節)
いずれにせよ、真相は闇の中です。。

イスカリオテのユダは常識人だった!?

今や裏切り者の代表格として、その名を知らない人はほとんどいないイスカリオテのユダ。
ここだけを聞くと多くの人は、冷徹で計算高い極悪人をイメージするでしょう。
しかし、彼の人物像は意外にも真面目な常識人だったと言われています。
何しろ、皆のお金を預かるという重要な役割である会計係を任されていたくらいです。
「6彼がこう言ったのは、貧しい人たちに対する思いやりがあったからではなく、自分が盗人であり、財布を預かっていて、その中身をごまかしていたからであった。」
(ヨハネによる福音書12章6節)

イエスたちから相当信頼されていなければ、この役目は与えられないでしょう。
実際、イエスが裏切り者の存在を語られたとき、他の弟子たちはユダだけはありえないと思っていたそうです。
ユダが会計で不正をしていたことに弟子たちが気づいたのも、ユダが自殺した後だったんだとか。
実は、ユダに限らず、ブルータスとか明智光秀といった歴史的裏切り者たちには有能な常識人が多かったりするんですよね。
そんな彼らがなぜ裏切りに走るのかは本当に不思議ですが。。
イスカリオテのユダの後に新弟子が入った!?【その名もマティア】

ユダがイエスを裏切り自殺した後、12弟子は11人になってしまいました。
しかし、イエスが12という数字にこだわっておられたため、弟子たちはその後新しい弟子を加えます。
その人物の名前は、マティア。
「そこで一同は、バルサバと呼ばれ、またの名をユストというヨセフと、マッテヤとのふたりを立て、祈って言った、「すべての人の心をご存じである主よ。このふたりのうちのどちらを選んで、ユダがこの使徒の職務から落ちて、自分の行くべきところへ行ったそのあとを継がせなさいますか、お示し下さい」。それから、ふたりのためにくじを引いたところ、マッテヤに当ったので、この人が十一人の使徒たちに加えられることになった。」
(使徒言行録1章23~26節)
ここでくじ引きを引いているのは決して手抜きではなく、当時は神様の意志を確かめるためにくじ引きが使われていたからです。
その結果、マティアが選ばれたのでした。
ちなみに、マティアに関する詳しいことは聖書には書かれていません。
12弟子については、【完全版】イエスの12使徒(弟子)って誰がいるの?超個性派集団!?をどうぞ
外典には、”ユダの福音書”が存在する!?

皆さんは、“ユダの福音書”という書物があるのを知っていますか?
新約聖書には、
- マタイによる福音書
- マルコによる福音書
- ルカによる福音書
- ヨハネによる福音書
という4つの福音書がありますが、ユダの福音書は外典扱いなので含まれていません。
このユダの福音書には、ユダの裏切りについて中々衝撃的なことが書かれています。
なんと、ユダはイエスを裏切ったのではなく、イエスの命令に従っただけだというのです。

むしろ、ユダはどの弟子たちよりもイエスに信頼され、重要な役割を任されていたと。
もしこれが本当なら、ユダは裏切り者どころかとんでもない偉人だということになりますね。
ユダの福音書の終わりのほうでは、イエスがユダにこのような言葉をかけます。
「お前は、真の私を包むこの肉体を犠牲とし、すべての弟子たちを超える存在になるだろう」
ただ、ユダの福音書は、グノーシス主義という異端の文書であるとされているため、正典には入りませんでした。
もしこれが正典となっていたら、今までの常識が覆(くつがえ)るところでしたね。
さて、ユダの裏切りの真相やいかに。。
聖書については、【最強の書物】キリスト教の”聖書”とは?未だに売れ続ける永遠のベストセラー!?をどうぞ
イスカリオテのユダの絵画
では、最後にイスカリオテのユダに関する絵画をいくつかご紹介していきますね!

『キリストの捕縛』(カラヴァッジョ)

イエスがユダの接吻によって裏切られているシーン。
その接吻を合図に、ローマ兵たちがイエスを捕まえようと押し寄せてきています。
兵士たちの勢いとは対照的に、イエスはただ自分の運命を受け入れて、抵抗する素振りもみせません。
まさに、静と動という感じですね。

『ユダの接吻』(ジョット・ディ・ボンドーネ)
『ユダの接吻』1304-1306年 ジョット・ディ・ボンドーネ Kiss of Judas, Giotto di Bondone pic.twitter.com/u4LselYZiL
— キリスト教絵画bot (@religious_bot) February 8, 2021
こちらも、先ほどと同じシーンです。
ただし、より遠くから描かれており、こちらのほうが人口密度も高いですね。
この出来事は夜に起こったのですが、ローマ兵たちのたいまつの火が印象的です。
まとめ:ユダは裏切り者の代名詞!でも動機は謎!

ユダがイエスを裏切った動機に関しては、キリスト教を代表する永遠の謎の1つです。
聖書に書かれていない以上、今後も判明することはないでしょうね。
まあでも、ユダが裏切っていなかったとしても、イエスが十字架に架かられるという運命は変わらなかったはずです。
ユダが自分の意志でイエスを裏切ってしまったという事実は、なんだか切ないですよね。。
せめて、神様の救いを受けていて欲しいなと思います!
キートンでした。

