ジーザス、エブリワン!キートンです。
わかりやすく簡単にまとめて欲しいなあ。。
こういった疑問にお答えします。
現在まで読まれ続ける永遠のベストセラー聖書。
しかし、その知名度の割に、きちんと読んだことがあるという方は案外少ないのではないでしょうか。
なにしろ、あの分厚さに加えて、内容も決して簡単ではありません。
それどころか、専門用語やら難しい表現も山のように出てきます。
読書嫌いの方からすればまさに発狂もので、読もうと思ったけど挫折した方も少なくないでしょう。
しかし、ご安心を!
今回はそんな聖書挫折組の皆さんのために、旧約聖書の内容を書物ごとにわかりやすくまとめてみました!
いやー、自分のあまりのナイスガイぶりに身震いがしますよ。はい。
というわけで、この記事では、
- 旧約聖書とは?
- 旧約聖書とは?その内容をわかりやすく簡単にまとめてみた【全書物解説】
という内容をお届けします。
聖書がどのような書物かは、聖書とはどのような書物か?4つの特徴まとめ【永遠のベストセラー】を
新約聖書のまとめ記事は、新約聖書とは?その内容をわかりやすくざっくりとまとめてみた【全書物解説】を
旧約聖書と新約聖書の違いは、旧約聖書と新約聖書の4つの違いをクリスチャンが解説【比較表あり】をご参照ください。
目次
旧約聖書とは?
旧約聖書とは、ユダヤ教やキリスト教の聖典のことです。
全39巻から構成されており、ユダヤ人(イスラエル人)の歴史などが書かれています。
旧約聖書には、
というユダヤ人の考え方が見られる一方で、神を裏切るなどのユダヤ人の弱さや愚かさも赤裸々に書かれていますね。
原文のほとんどは古代ユダヤ人が使用していたヘブライ語で書かれていますが、一部はアラム語です。
ただし、旧約聖書というのはキリスト教の呼び方で、ユダヤ教ではタナハやミクラーなどと呼ばれます。
ユダヤ教とキリスト教の違いについては、【徹底比較】ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の違い10選まとめをどうぞ
旧約聖書とは?その内容をわかりやすく簡単にまとめてみた【全書物解説】
まずは、全39巻から成る旧約聖書からまいりましょう。
他にも分け方はありますが、旧約聖書は大きく分けると以下の4つに分けられます。
- 律法(モーセ五書)
- 歴史書
- 文学書
- 預言書
👇旧約聖書全体を図で見るとこんな感じ。
それぞれ詳しく見ていきましょう!
律法(全5巻)
旧約聖書の最初の5つの書物は、“律法”あるいは“モーセ五書”などと呼ばれ、
ユダヤ教では”トーラー”と言って旧約聖書の中でも特に重要視されます。
“モーセ五書”と呼ばれているのは、偉大な預言者の1人モーセがこの五書を書いたと言われているからです。
律法書は、以下の5つの書物から構成されていますね。
さらに細かく見ていきましょう!
創世記(50章)
創世記には、その名の通り神が世界を創造されたことが書かれており、天地創造の記述から始まります。
当然、その中には人間も含まれており、最初に造られたのがかの有名なアダムとイブです。
人間は元々、神のかたちに似せて造られましたが、アダムとイブが神に背いたことで罪を犯す者となってしまいました。
これが原罪というものであり、聖書の世界観の土台になります。
続いて、神によって大洪水が起きますが、ノアとその家族だけが方舟(はこぶね)に乗って救われ、人類は増え広がりました。
その中から神に選ばれたのがアブラハムという人物で、神は彼の子孫を通して人類全体を祝福すると約束します。
アブラハムは、その信仰の強さから”信仰の父”とも呼ばれ、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教全てで尊敬されていますね。
ちなみに、アブラハムに対して神様が与えると約束された地をカナンといい、後にイスラエル人はこの場所に帰ってくることになるのです。
その後は、
と3代の人物のお話が続き、彼ら3人をまとめて旧約聖書の”父祖”たちと呼ぶこともあります。
アブラハムの孫であるヤコブは波乱万丈の人生を送りますが、イスラエルと呼ばれるようになり、
彼の12人の息子たちはイスラエル12部族の祖となります。
創世記の最後は、この12人の息子の1人であるヨセフを主人公にしたお話で、
彼は兄たちに憎まれて奴隷としてエジプトに売られますが、王様の次に偉い宰相(さいしょう)にまで大出世。
兄たちと再会して和解し、ヨセフが亡くなるところで創世記は終わります。
創世記には一般的にも知られている有名なお話が多く、単純に読み物として面白いですね!
詳しくは、【聖書】創世記のあらすじとは?わかりやすく内容を解説をどうぞ
出エジプト記(40章)
出エジプト記に入ると、ヤコブの子孫であるイスラエル人がエジプトの奴隷になるところから始まります。
しかし、同じくイスラエル人である預言者モーセによって、エジプトを脱出することに成功するのです。
海をパッカーンと割ってしまう有名なシーンも、エジプトを出る際にモーセが起こした奇跡ですね。
イスラエル人は、アブラハムが神から与えられたカナンの地に帰ることを目指しますが、彼らはその途中で食べ物や飲み物のことで文句ばかり。
それでも、神は彼らを養い続けました。
さて、出エジプト記の後半に入ると、神がモーセを通してイスラエル人に与えられた教え(律法)が出てきます。
その内容は、
- “殺すな”や”盗むな”などの生活関連の教え
- “動物犠牲”や”※幕屋建設”などの儀式的な教え
がそれぞれ半々くらいで、有名な十戒も含めてユダヤ教では全部で613条あるとされていますね。
※幕屋
➡移動用の組み立て式テント神殿のこと。この幕屋に神が住むとされていました。
これによって、
という契約が神とイスラエル人の間に結ばれました。
旧約聖書の”約”とは、こうした神とイスラエル人の“契約”のことを表しているんですね。
ただ、この律法が中々のくせ者で、前半のモーセの物語に比べるとぐっと読みずらく退屈になるので、根気強く読みましょう!
この辺りから、聖書を挫折する人が増えてくる印象ですね。
詳しくは、【要約】出エジプト記とは?あらすじをわかりやすくまとめてみたをどうぞ
レビ記(27章)
レビ記のレビというのは、ヤコブの12人の子供の1人で、そのレビを祖とするイスラエルの部族の1つのことです。
レビ族の人たちは、この世の職業は持たずに神にのみ仕える人たちで、
そんな彼らが、幕屋に仕えるという仕事をするためのマニュアルのようなものがレビ記といえます。
より具体的に言うと、レビ記には神がモーセを通して命じた、
- 全焼のいけにえ
- 和解のいけにえ
- 罪過のためのいけにえ
などのいけにえに関する決まりや、そのいけにえをささげる祭司に関する決まりなどが書かれています。
なぜいけにえをささげるかというと、
この時代は、動物などのいけにえをささげることで神に人の罪をゆるしていただいていたからです。
つまり、動物の血によって、罪が清められていたんですね。
しかし、新約聖書以降は、イエスキリストが十字架で血を流されたことでもう動物のいけにえは必要なくなりました。
民数記(36章)
民数記には、人口調査や出エジプト後にイスラエル人が荒野を進んでいく様子が描かれています。
前述したように、イスラエル人は荒野生活に文句を言いながら進みますが、
そのせいで神の怒りを買い、荒野を40年間もさまようことになります。
所々で律法の教えも出てきますが、全体的にはその荒野生活でのプロセスやエピソードなどが書かれているんですね。
例えば、
- 律法の教えを守りながら、苦しい生活を強いられていたこと
- そのような神の訓練を受けながら”律法の民”として成長していったこと
- しばしば内紛が起こり、身内での争いがあったこと
などです。
申命記(34章)
申命記では、モーセが今まで出てきた神の教え(律法)を改めて民に説いています。
と拒否反応を示しそうになるかもしれませんが、律法書はこの書までなので頑張りましょう!
ユダヤ教徒は、現在でもこうした律法の教えを宝として守り続けているのです。
ちなみに、モーセは神にカナンの地に入れて欲しいと頼みますが、結局それは許されずに120歳で亡くなりました。
歴史書(全12巻)
歴史書には、イスラエル人たちがカナンの地に着いてからの歴史が書かれており、歴史資料としても高く評価されています。
歴史書を構成しているのは、以下の通りです。
- ヨシュア記
- 士師記
- ルツ記
- サムエル記上・下
- 列王記上・下
- 歴代誌上・下
- エズラ記
- ネヘミヤ記
- エステル記
それぞれ見ていきます!
ヨシュア記(24章)
モーセの死後、イスラエル人の指導者になったのはヨシュアという人物でした。
志半ばで亡くなったモーセの代わりにヨシュアは、イスラエル人を引き連れてヨルダン川を渡ると、ついにカナンの地に入ります。
しかし、カナンの地は、イスラエル人が400年以上もエジプトにいる間にいくつかの民族が定着していました。
そのため、ヨシュアたちはそれらの民族を追い出すために、非常に激しい戦いを行ったのです。
ヨシュアはまさに戦闘の天才で(もちろん神の力ですが)、ジェリコという町を攻略すると、次々と他の町も征服していきました。
そして、得た土地や町々は、12の部族に分配していったのです。
詳しくは、【聖書】ヨシュアってどんな人?ほぼ負けなしの天才指導者?をどうぞ
士師記(21章)
カナンの地を得たイスラエル人でしたが、他民族の人々はまだあちこちに住んでいました。
そのため、イスラエル人は引き続き、カナンの地のために戦いを続ける必要があったのです。
しかし、ヨシュアが亡くなった後、指導者を失ったイスラエル人たちは
- 神の命令に背いて、滅ぼすべき他の住民と共存しようとする
- 住民たちの神を拝み、偶像崇拝をする
といった好き勝手な生き方をし始めます。
この罪のせいでイスラエル人は他民族に襲われることになりますが、そこで現れたのが士師と呼ばれる人たちです。
士師は軍事的・宗教的な指導者で、イスラエル人を他民族から救うために戦った英雄でした。
士師記には12人もの士師が登場しますが、イスラエル人があまりにも不信仰なために、何度も他民族に襲われることになったのです。
士師記の後半には、イスラエル12部族の1つであるベニヤミン族が、レビ族の女性を暴行死させたことがきっかけで、
全部族を巻き込んだ大きな内紛が起こったことが書かれています。
その結果、ベニヤミン族は衰退していきました。
詳しくは、【聖書】士師の意味とは?12人の英雄たちを全てまとめてみたをどうぞ
ルツ記(4章)
ルツ記は、士師が活躍していた時代のモアブ人の女性ルツとその姑ナオミを描いたお話です。
夫と息子たちに先立たれ、1人で故郷のベツレヘムに帰ることを決めたナオミに対して、ルツは、
あなたの亡くなるところで私も死にたいのです。
と言ってついていきます。
その後、ルツは親戚のボアズと結婚しますが、彼らから後のダビデやイエス・キリストが誕生していくことになります。
たった4章しかないですが、登場人物もいい人ばかりで、ひたすら心が温まる美しい書ですね。
血なまぐさい話も多い歴史書の中で、ルツ記はさながらオアシスのようです!!
“聖書のオアシス”と私は呼ぼうではありませんか!!(うるさい)
詳しくは、【聖書】ルツ記のあらすじをわかりやすく解説!嫁と姑の感動物語?をどうぞ
サムエル記上・下(30章、24章)
サムエル記は士師記の続きで、そこからダビデ王の時代までのイスラエルの歴史が書かれています。
書名にもなっている預言者サムエルの誕生から始まりますが、彼は最後の士師でもありました。
サムエルはイスラエルに王制を導入し、背の高いサウルという人物をイスラエル最初の王に任命しました。
しかし、サウルは神様にきちんと従わなかったため見捨てられ、その家来だったダビデが次の王様として選ばれることになります。
ダビデはサウルとは違い、謙虚で信仰も強く、詩や竪琴(たてごと)の才能までありました。
ところが、そんな偉大な王であるダビデも人妻を奪ってその夫を殺すという大罪を犯し、その後、王位継承に関する内紛が勃発。
息子の1人であるアブサロムの反乱にもあい、都エルサレムから逃げ出すという事態にもなりました。
サムエルについては、【聖書】サムエルってどんな人?イスラエル最後の士師!?をどうぞ
ダビデについては、【聖書人物】ダビデ王とは?その生涯をわかりやすくまとめてみたをどうぞ
列王記上・下(22章、25章)
列王記には、イスラエル民族が王国の黄金時代を築き、滅亡していくところまでが描かれています。
その黄金時代を築いたのが、ダビデ王の後を継いだソロモン王です。
ソロモン王は聖書No.1頭脳の持ち主で、子供のことで争う2人の女性をも見事に裁いてしまいました。(ソロモンの審判)
彼の時代にイスラエル王国は全盛期を築き、最初の神殿や宮殿も建てられたのです。
しかし、ソロモン王も奥さんたちの影響で、晩年には神から離れて偶像礼拝をしてしまいます。
この罪のせいで、ソロモンの死後イスラエル王国は北のイスラエルと南のユダに分裂。
その後、それぞれの国で次々と王様が変わっていく様子が描かれます。
北と南の王様が交互に紹介されていくのでかなり読みにくいですが、不信仰でろくでもない王様が多いので神経質に読まなくても大丈夫です!
また、途中でエリヤやエリシャといった偉大な預言者たちが現れて神の言葉を語りますが、彼らが罪を悔い改めなかったため、
北のイスラエルも南のユダも滅亡へと向かっていきます。
エルサレム神殿も破壊され、こうしてダビデによって完成したイスラエル王国は、約400年で終わりを迎えたのです。
ちなみに、南王国ユダは滅ぼされた際に新バビロニア帝国に捕囚として連れて行かれましたが、これをバビロン捕囚といいます。
歴代誌上・下(29章、36章)
さて、ここまでの歴史書を読むのにもかなり苦労したと思いますが、悲報があります。
実はこの歴代誌には、今まで読んできた歴史が別の人々によって再び書かれているのです。
つまり、ダビデ王やソロモン王の話など、今まで見てきた歴史をこの書でもう一度読むことになるということですね。
それならこの書は必要ないだろ!!!
とブチ切れたくなるかもしれませんが、まあ落ち着いてください!
歴代誌には、今までに書かれていなかったことが書かれていたり、別の角度から歴史を見れたりするので無駄ではないのです。
例えば、バビロン捕囚の後、ユダヤ人がユダヤ地方に帰ってきてエルサレムに神殿を再建するところなどは今までの書にはありません。
また、ダビデ王とソロモン王の失態は描かれず、良い部分ばかりが書かれています。
とは言え、歴代誌の最初のほうは人物の系図がカタカナ表記で続きますし、かなり忍耐がいる書なのは間違いないでしょう。
ちなみに、僕は最初歴代誌を読んだとき、聖書を挫折させるための嫌がらせかと思いました。(本音)
エズラ記(10章)
エズラ記からの3つの書物は、どれもバビロン捕囚後の歴史が書かれています。
紀元前538年、ペルシャ王クロスによってバビロンからの帰還を許されたユダヤ人(イスラエル人)は、神殿を再建し始めました。
しかし、工事に反対する地元の他民族がおり、完成まで5年がかかります。
その苦労話が、エズラ記の前半に書かれているんですね。
その後、紀元前428年頃にエズラという人物がエルサレムに帰還します。
エズラは祭司であると同時に律法の学者でもあり、ユダヤ人たちに厳しい律法教育をし始めました。
例えば、既に帰還していた民の中で、その地で他民族と結婚していた人たちを全員強制的に離婚させました。(強い)
恐怖政治のようにも思えますが、これも神への信仰のためだったのです。
ネヘミヤ記(13章)
ネヘミヤは、神殿が再建された70年後に、ユダヤ地方の総督に任命されてエルサレムの城壁造りにやって来た人物です。
彼はユダヤ地方に住む他民族の反対にあいながらも、苦労して城壁を造りました。
その苦労話が書かれているのが、ネヘミヤ記なんですね。
ネヘミヤは総督で、エズラは少し後に来た指導的な祭司・学者という関係ですね。
ネヘミヤとエズラは、ユダヤ人たちに徹底した律法教育を行っていくのです。
エステル記(10章)
さて、エズラの帰還よりも20年ほど前に、ペルシャ王アハシュエロスの王妃になったのがエステルです。
エステル記には、そんな美しき王妃エステルが自分の民族であるユダヤ人を救うというお話が書かれています。
あるとき、ハマンという高官がユダヤ人を滅ぼそうとしますが、エステルの養父モルデカイはこのことを知りエステルに報告。
同じくユダヤ人であったエステルはこれを阻止しようと、処刑されることを覚悟で王様に近づきます。
結果的にこれが上手くいき、ユダヤ人の滅亡はなくなり、悪者であるハマンも処刑されました。
ちなみに、エステル記には”神”という単語は出てきませんが、お話全体に神の力が働いているのを感じることができます。
詳しくは、【聖書】エステル記のあらすじとは?わかりやすくまとめてみたをどうぞ
知恵文学(全5巻)
知恵文学には、神への賛歌や人生の教訓などが詩歌などの形でまとめられています。
日々の生活や仕事、恋愛など人生の様々な問題に対する信仰的な知恵が盛りだくさんです。
特に詩編は新約聖書に引用されることも多く、重要な書物ですね。
構成されている書物は、以下の通りです。
- ヨブ記
- 詩編
- 箴言
- コヘレトの言葉(伝道の書)
- 雅歌(ソロモンの歌)
それぞれ見ていきます!
ヨブ記(42章)
ヨブ記は1つの物語であり、“なぜ正しい人にも苦しみがあるのか?”という難しいテーマを扱っています。
なので、内容の理解もかなり難しいですね。
主人公ヨブは、神をおそれる正しい人でしたが、あるとき家族も財産も全てを失ってしまいました。
3人の友人が励ましにやってきますが、ヨブがこんな目にあうのは何か罪を犯したせいなのではないかと、途中からヨブを責め始めます。
しかし、ヨブは自分は何も悪いことはしていないとそれを認めず、その後もヨブの嘆きや友人たちとの会話が延々と続きます。
しかし、最終的に神が現れ、
ということをヨブに語られると、ヨブはひれ伏し今までの自分の発言を悔い改めました。
結局、ヨブが苦しい目にあった理由は明かされませんが、ヨブは以前よりも大きな祝福を与えられることになるのです。
善人が苦しむような人生でも、神を信頼して生きれば必ず祝福されるとヨブ記は教えてくれます。
詳しくは、【聖書】ヨブ記のあらすじをわかりやすくクリスチャンがまとめてみたをどうぞ
詩編(150編)
詩編はいわば“祈り集”であり、旧約聖書時代に長年かけて作られた祈りが後になってまとめられたものです。
全部で150編の詩からなり、神を信じる者の喜びや悲しみなどの思いが赤裸々に書かれています。
「主はわたしの牧者であって、わたしには乏しいことがない。 2主はわたしを緑の牧場に伏させ、いこいのみぎわに伴われる。 3主はわたしの魂をいきかえらせ、み名のためにわたしを正しい道に導かれる。 4たといわたしは死の陰の谷を歩むとも、わざわいを恐れません。あなたがわたしと共におられるからです。あなたのむちと、あなたのつえはわたしを慰めます。」
(詩編23編1~4節)
それはとてもシンプルな内容だからこそ、現代の私たちにも響きます。
詩編は、後のキリスト教の賛美歌や文学作品にも大きな影響を与えました。
箴言(31章)
箴言とは戒めとなる短い句のことで、格言を意味します。
実際、ソロモン王によって書かれたとされている箴言には、知恵の言葉がたくさん収められていますね。
その内容は幅広く、
- お金のこと
- 仕事のこと
- 夫婦のこと
- 子育てのこと
など現代にも通用するアドバイスが盛りだくさんです。
有名な聖句をいくつか挙げておきますね。
「主を恐れることは知識のはじめである、愚かな者は知恵と教訓を軽んじる。」
(箴言1章7節)
「すべての道で主を認めよ、そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにされる。」
(箴言3章6節)
「もしあなたのあだが飢えているならば、パンを与えて食べさせ、もしかわいているならば水を与えて飲ませよ。」
(箴言25章21節)
✅【聖書】箴言の有名な名言・格言を9つクリスチャンがまとめてみたも参照
コヘレトの言葉(伝道者の書)(12章)
コヘレトの言葉(伝道者の書)もソロモン王によって書かれたとされており、箴言と同じように詩や散文詩の形式になっています。
富も地位も名誉も全てを手に入れたソロモン王が、”人生は虚しい”と何度も語っているのは、考えさせられますね。
しかし、ただ虚しいだけで終わっているわけではなく、若いうちに神に心を向けろと結論付けています。
神と繋がらなければ、どんなお金も地位も虚しいとソロモンは語っているんですね。
雅歌(ソロモンの歌)(8章)
こちらもソロモン作ですが、箴言やコへレトの手紙とはうって変わって恋愛について書かれた詩になっています。
一体なぜこんな書が、聖書に含まれているのでしょうか?
これには、
- 純愛の勝利を歌っている説
- 神と人間の愛の関係を比喩的に歌っている説
- 結婚式の祝いの席で歌われた歌説
など様々な説があります。
いずれにせよ、聖書の中でもかなり異色の書と言えるでしょう。
預言書(全17巻)
預言書は、ダニエル書までの大預言書5巻とより文章量が少ない小預言書12巻に分けられ、
預言者が神様から受け取った言葉などが書かれています。
そのため、哀歌を除いて全ての書物が預言者の名前になっていますね。
ただし、ここは内容的に難解な書物が多く、初めて聖書を読む方には取っ付きにくい部分かもしれません。
構成は以下の通りですが、書物の順番は時系列順にはなっていません。
数は多いですが、それぞれ見ていきましょう。
預言者については、預言者とは?神の言葉を伝える人たち?【クリスチャンが解説】を参照
イザヤ書(66章)
イザヤ書を書いたイザヤは、紀元前770年ごろに生まれ、南王国ユダにおいて50年近くも活躍した預言者です。
当時は、北王国イスラエルがアッシリアに滅ぼされ、南王国ユダも滅亡の危機という状況でした。
しかし、イザヤの預言のおかげで、南のユダ王国はなんとかアッシリヤによる滅亡の危機を脱することができ、そこからさらに135年生き延びます。
イザヤ書は大きく、
- 39章までの前半
- 40章以降の後半
に分けら
また、イザヤの主な預言には以下のようなものがあります。
- 南王国ユダは、新バビロニアに捕虜にされる(バビロン捕囚)
- 偶像崇拝や貧しい人への迫害をやめれば、
バビロン捕囚は避けられる - 国や軍の力ではなく神の力に頼れば、
南王国ユダはアッシリアの攻撃から守られる - 将来、神は地上の悪を滅ぼし、神の国を立てあげられる
- バビロン捕囚の後は、再び自分たちの地に帰ることができる
- メシア(救い主)がこの世にお生まれになる
特に重要なのは、”メシア預言”と呼ばれるイエスキリストに関する預言で、これは新約聖書の時代に実現しました。
詳しくは、【解説】イザヤ書のイザヤってどんな人?わかりやすくまとめてみたをどうぞ
エレミヤ書(52章)
エレミヤ書には、
南王国ユダが偶像崇拝などの罪のゆえに新バビロニア帝国に滅ぼされていく時代を背景にした預言が語られています。
エレミヤはイザヤと同じく南王国ユダで活躍した預言者ですが、その生涯は苦難の連続でした。
彼はユダの人々に対して、
- 罪のゆえに神の裁きによって南王国ユダは滅亡する
- 新バビロニア帝国に対する抵抗はやめて捕囚の身になれ
といった預言をしましたが、その内容が人々の反感を買い、ひどい目にあわされます。
しかし、結果的にエレミヤの預言は実現し、エレミヤが50代の頃に南王国ユダは滅亡しました。
ただし、エレミヤ書の後半には、国が滅んでもその後帰国できるという希望の預言も語られています。
詳しくは、【聖書】エレミヤってどんな人?涙の預言者の生涯をまとめてみたをどうぞ
哀歌(5章)
哀歌は、バビロニア軍によって滅亡していくエルサレムを目撃したエレミヤが嘆き悲しんでつづった歌が書かれています。
全部で5つの歌があり、バビロン捕囚の時代に書かれました。
その名前の通り哀しい歌ばかりで、
- エルサレムは罪を重ねて汚れてしまった
- 私は敵のなすがままになっている
- エルサレムが助けを求めても誰も慰めてくれない
- いつまで神は私たちを怒られるのか
といった内容がずっと続きますね。
エゼキエル書(48章)
エゼキエル書は、難しい内容が多い預言書の中でも特に難しい書です。
なぜなら、不思議な幻やたとえ話が多く、難しい表現が多いからですね。
例えば、エゼキエル自身は、
- 神の乗り物に乗って、上からエルサレムの様子を見る
- 谷にある白骨が繋がり、肉と皮膚に覆われた後、神の霊が吹き込まれて復活
- 神殿の下から流れる水が死海に注がれ、水が良くなり魚が住めるようになる
といった様々な幻を見たり、不思議体験をしたりしています。
このような幻を通して、神様はエゼキエルに預言に関する様々なメッセージを語られたのです。
エゼキエルは、バビロン捕囚民の1人で、捕囚中に預言活動をした預言者でした。
その預言内容は大きく、エルサレムが陥落する前の暗い預言とエルサレム陥落後の希望の預言に分けられますね。
エゼキエルは、バビロン捕囚中の預言者ですからどうしても暗い内容の預言が多いですが、後半では希望の預言も語っています。
エゼキエルの主な預言内容をまとめると、以下の通りです。
- ユダヤ人の偶像崇拝などの罪に対する警告
- その罪ゆえにエルサレムが破壊され、南王国ユダが滅びる
- ユダ王国の滅亡に関わった周辺諸国(エジプト、エチオピヤ、プテなど)も滅ぼされる
- やがて国と神殿は再建し、エルサレムに帰れる
ダニエル書(12章)
ダニエル書も預言書ですが、6章まではダニエルに関する物語でとても読みやすいです。
ダニエルもバビロン捕囚を経験した人物ですが、顔も頭もよかった彼は王様に選ばれ宮廷で仕えることになります。
ダニエルには夢を解き明かす賜物があり、バビロニアの王ネブカドネザルの夢を解き明かしたことで帝国全州を治める長官にまで出世しました。
しかし、ダニエルは信仰が強く、偶像崇拝を拒んだりもしたため、命を落としかけたこともありました。
それでも、神様がダニエルをそうした危機から救いだしてくださったのです。
ただし、7章以降はダニエルが見た幻の預言が書かれており、預言書らしい難しい内容に入ってしまいます。
そのため、預言内容の解釈も分かれるところですね。
詳しくは、【聖書】ダニエルってどんな人?スペックが高すぎる預言者?をどうぞ
ホセア書(14章)
ここから先は小預言書で、全体的に大預言書よりも文章量は少なめです。
ホセア書は、大きく以下の3つに分けられます。
- ホセアの不幸な家庭について(1~3章)
- 北イスラエル王国の信仰的・政治的な堕落についての預言(4~10章)
- 神の愛と救いの預言(11~14章)
ホセアはイザヤと同時代の預言者で、北イスラエル王国がアッシリア帝国に滅ぼされた時代の預言者です。
ホセアは娼婦ゴメルと結婚しましたが、彼女はすぐに裏切って別の男のところへ行ってしまいます。
しかし、ホセアはそれでも彼女と別れず愛し続け、その罪をゆるしました。
同じように、罪で堕落したイスラエルの人々をも神は愛されるということが語られています。
ヨエル書(3章)
ヨエルは南王国ユダで活躍した預言者で、
イナゴの大群による自然災害に苦しむ人々に悔い改めを迫りました。
なぜなら、当時ユダヤ地方をイナゴの大群が襲っており、野の食べ物を食い尽くしてしまったからです。
ヨエルはそれを神の裁きだと語り、悔い改めるように警告したんですね。
同時に、
- 神の名を激しく呼び求める者
- 神を信頼する者
は救われるとも預言しています。
アモス書(9章)
アモスは、ホセアより先に登場した北王国イスラエルの預言者で、
一時的に繁栄したイスラエルへ強い批判の言葉が書かれています。
なぜなら、イスラエルの人々は堕落しており、社会も腐敗しきっていたからです。
ただし、預言の最後のほうでは、神の裁きで滅びなかった人たちを通してイスラエルを回復するという預言が語られています。
オバテヤ書(1章)
オバデヤ書は、なんと1章しかない短い預言書です。
エドムという国が神の裁きにあうということが語られています。
ちなみに、エドム人の先祖はヤコブの兄エサウの子孫です。
ヨナ書(4章)
ヨナ書は、4章の短い物語になっている預言書です。
ヨナはアモスより少し前の北王国イスラエルの預言者で、アッシリアの首都ニネベに行くように神に命じられます。
しかし、彼はこれを拒否し、その結果乗った船が嵐にあい、ヨナは巨大な魚に飲み込まれてしまいました。
結局ヨナは渋々ニネべに行くことになり、彼らが悔い改めるように預言を語りました。
ニネベの人たちは素直に悔い改めて救われますが、これに対してヨナは不機嫌になります。
なぜなら、ニネベはかつてイスラエルを苦しめた国の首都だったからです。
しかし、神はヨナをたしなめ、悔い改めた町を憐れむ正しさを教えました。
詳しくは、【聖書】ヨナってどんな人?魚に飲み込まれた預言者!?をどうぞ
ミカ書(7章)
ミカはイザヤと同時代の預言者で、北王国イスラエルと南王国ユダ両方の罪に対する神の裁きを語っています。
また、神が求めることは動物のいけにえではなく、誠実さであるとも語っていますね。
ナホム書(3章)
ナホム書には、アッシリア帝国の首都ニネべに対する激しい怒りとその滅亡に関する預言が書かれています。
アッシリア帝国は、北王国イスラエルを滅ぼし、南王国ユダも苦しめた国ですね。
そんな歴史的背景もあってか、アッシリア帝国に対してかなり過激な言葉を使って預言がされています。
ハバクク書(3章)
ハバクク書には、新バビロニア帝国がアッシリア帝国を滅ぼした頃の預言が書かれています。
その内容は、神が諸外国を用いて歴史を支配しておられるから、高慢にならずに信仰によって生きれば祝福を受けるというものです。
3章は祈りの文章で、独立した歌のようになっています。
ゼファニア(ゼパニア)書(3章)
ゼファニア書にも、新バビロニア帝国がアッシリア帝国を滅ぼした頃の預言が書かれています。
その内容は、イスラエルに対する神の裁きと近隣の他民族への裁きです。
しかし、全てのイスラエル人が裁かれるわけではなく、生き残る正しい人も現れると書かれています。
ハガイ書(2章)
ハガイ書には、バビロン捕囚にあっていたハガイによる預言が書かれています。
その内容は、破壊されたエルサレム神殿をユダヤ人の総督ゼルバベルに協力して再建せよというものです。
なぜなら、当時エルサレム神殿の再建は中断状態になっていたからですね。
セガリヤ書(14章)
ゼカリヤ書は幻がたくさん出てくる理解が難しい書で、ゼカリヤはバビロン捕囚民の1人でした。
預言内容はハガイ書と同じく、エルサレム神殿を建てるように励ますものです。
1章~6章までは、ゼカリヤが見た8つの幻による預言が書かれています。
9章からは内容が前半と大きく内容が異なり、エルサレムのことやキリストのことなど様々な預言が含まれていますね。
新約聖書には、このゼカリヤ書9章以降から引用された聖句がたくさんあり、
中でも、イエスがロバに乗って来られるという以下の預言は有名です。
「シオンの娘よ、大いに喜べ、エルサレムの娘よ、呼ばわれ。見よ、あなたの王はあなたの所に来る。彼は義なる者であって勝利を得、柔和であって、ろばに乗る。すなわち、ろばの子である子馬に乗る。」
(ゼカリヤ書9章9節)
(【解説】エルサレム入城とは?イエスキリスト復活の1週間前!?も参照)
マラキ書(4章)
マラキ書は、エルサレム神殿が再建されて以降の預言が書かれています。
その内容は、神の審判の日が近づいているから律法を守り、正しい生活をしなさいというものです。
なぜこのような預言が語られたかというと、神殿が再建されて人々の生活は安定してきたものの、
- 礼拝が形式化する
- 神へのささげ物や律法が軽んじられる
- 離婚が増える
などの堕落が見られるようになっていたからです。
そこで、マラキは悔い改めを迫り、神の裁きを告げたんですね。
特に祭司たちへの警告が多く、悔い改めるように語っています。
まとめ:旧約聖書の内容をざっくり理解しよう!
いやー、旧約聖書めちゃくちゃ長かったですね、お疲れ様でした!
ここまで見てきても分かる通り、聖書を読み通すというのは並みの作業ではなく、根気が必要です。
ですので、この記事などを読んで、まずは全体の概要や流れを理解するのは重要ですね。
そうすれば、聖書を読んだときにぐっと理解して読みやすくなります。
ぜひとも聖書のガイドブック的な感じで、この記事を使ってください!
新約聖書バージョンの記事も近々アップするのでお楽しみに!
キートンでした。
👇参考文献
ハレルヤ 聖書を学ぶ者です。
聖書の世界を分かりやすくまとめ、解説して頂き有難うございます。迷う事しばしばなので、とても助かります。旧約のガイドブック最高です。
キョン2さん、旧約聖書のまとめ記事をお読みくださりありがとうございます!
お役に立てて幸いです。本記事に関しては、今後さらにブラッシュアップしていくつもりなので、長くご活用してくださると嬉しいです。
今後も当ブログをよろしくお願いいたします。