ジーザス、エブリワン!キートンです。
そんなに魅力的な場所なのかなあ。。?
こういった疑問にお答えします。
多くの宗教には、”聖地”と呼ばれる特別な場所があります。
聖地はその宗教にまつわる神聖な場所であり、多くの信徒が巡礼に訪れますね。
宗教の聖地は世界各地にありますが、様々な宗教の聖地が集まっている場所もあります。
その代表格がエルサレムです。
エルサレムと言えば、ニュースや歴史のイメージから、いつも争いが起きている危険な場所という印象があるかもしれません。
しかし、その争いの大きな原因の一つが、様々な宗教の聖地が集まり過ぎ問題なのです。
具体的には、エルサレムは主に、
- ユダヤ教
- キリスト教
- イスラム教
という3つの宗教の聖地になっています。
では、なぜこれほどエルサレムに聖地が集中しているのでしょうか?
これらの宗教になじみがない日本人からすれば、エルサレムの何がそんなに特別なのかピンとこないかもしれません。
エルサレムに聖地が集中している理由が分かれば、エルサレムを巡る国際情勢ついての理解が深まるですが、これを知らない方も多いです。
そこでこの記事では、クリスチャンの僕が、
- エルサレムとは?
- 【疑問】エルサレムに聖地が集中しているのはなぜ?宗教ごとに解説
- エルサレムにある3宗教の聖地
について解説します。
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目次
エルサレムとは?
そもそも、エルサレムとはどのような場所なのでしょうか?
- 3つの宗教の聖地
- どの国の所有?
以下で詳しく見ていきましょう!
3つの宗教の聖地
エルサレムは、中東のイスラエルにある都市で、世界最古の都市の一つです。
古代から現代まで宗教的にも歴史的にも文化的にも重要な場所であり、特に、
- ユダヤ教
- キリスト教
- イスラム教
という3つの宗教の聖地があることで知られています。
実はこの3宗教は同じ唯一の神を信じる一神教であり、”ユダヤ3兄弟の宗教”と言われるくらいお互いに深い繋がりがあるのです。
キリスト教はユダヤ教から派生して生まれましたし、イスラム教もユダヤ教とキリスト教の影響を強く受けていますからね。
(✅️3宗教の比較については、【徹底比較】ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の違い10選まとめをどうぞ)
エルサレムには、これら3宗教に関わる様々な歴史的建造物や宗教施設がたくさん残されています。
特に世界遺産にも登録されている“エルサレムの旧市街”には、
3宗教の聖地が集中しており、キリスト教の一派であるアルメニア正教も含め、以下のように4つの地区に分割されている状況です。
(画像引用:wikipedia エルサレム旧市街)
イスラム教徒地区 | キリスト教徒地区 | アルメニア正教徒地区 | ユダヤ教徒地区 | |
---|---|---|---|---|
エリア | 北東 | 北西 | 南西 | 南東 |
主な聖地 | 神殿の丘(アル=アクサー・モスク、岩のドーム) | 聖墳墓教会 | 聖ヤコブ大聖堂 | 嘆きの壁 |
説明 | 最も面積が広く、人口も多い地区 | 様々なキリスト教宗派の教会や修道院が立ち並ぶ | 最も小さい地区 | ユダヤ教徒の住宅や商店が密集している |
こうした状況からもお察しの通り、歴史的にエルサレムでは宗教的な対立や争いが絶えません。
さらに、ユダヤ人とパレスチナ人がどちらも住んでおり、民族的な対立も根深いです。
こう見ると、エルサレムになぜ物騒なイメージがあるのか何となく見えてきますよね。
どの国のもの?
これほど重要なエルサレムですが、一体どこの国のものなのでしょうか?
実はエルサレムの地位問題はとても複雑で、未だに解決されていません。
現在、1948年に建国されたイスラエルがエルサレムを自国の首都だと主張し、エルサレムを実質的に支配しています。
しかし、アメリカやグアテマラなど一部の国を除いて、国際社会の多くの国はこれを認めていません。
一方で、パレスチナ人も東エルサレムを、パレスチナ独立後の首都だと主張しています。
まさに、どちらも譲らないバチバチな状態ですよね。
このように、イスラエルとパレスチナの対立が続いており、正式にエルサレムがどこの国のものなのかは確定していないのです。
【疑問】エルサレムに聖地が集中しているのはなぜ?宗教ごとに解説
では、なぜこれほどエルサレムに聖地が集中しているのでしょうか?
実はそれぞれの宗教にエルサレムを特別視する理由があるのです。
宗教ごとに見ていきましょう!
- ユダヤ教
- キリスト教
- イスラム教
ユダヤ教
エルサレムは、ユダヤ教徒にとって最も神聖な場所であり、3000年以上にわたって宗教の中心地として重要な役割を果たしてきました。
なぜなら、エルサレムは、
- 神がユダヤ人に与えると約束された地
- 古代イスラエル王国の首都
- ユダヤ教徒にとって重要な”神殿”が建てられた場所
という特別な地だからです。
上から順番に見ていきますが、まずユダヤ教の聖典であるタナハ(キリスト教でいう旧約聖書)の“創世記”において、
神はアブラハムとその子孫(ユダヤ人)に約束の地カナンを与えると約束されました。
「わたしはあなたと後の子孫とにあなたの宿っているこの地、すなわちカナンの全地を永久の所有として与える。そしてわたしは彼らの神となるであろう」。」
(創世記 17:8)
アブラハムとはユダヤ人の始祖のことですが、このカナンというのが、現在のイスラエルやパレスチナ辺りを指します。
そして、カナン地の中でも特に重要な都市がエルサレムなのです。
神のこの約束を、今もユダヤ教徒は大切にしているわけですね。
これだけでもエルサレムを聖地とするには充分な気もしますが、まだまだ理由はあります。
その後、アブラハムの子孫であるユダヤ人たちは、カナンの地に古代イスラエル王国を建国。
古代イスラエル王国2代目の王様ダビデは、紀元前10世紀頃にエルサレムを征服し、イスラエルの首都としました。
「ダビデは王となったとき三十歳で、四十年の間、世を治めた。 5すなわちヘブロンで七年六か月ユダを治め、またエルサレムで三十三年、全イスラエルとユダを治めた。」
(サムエル記下5章4、5節)
しかも、ダビデはエルサレムをただ単にイスラエルの政治的な首都というだけでなく、宗教的にも中心的な町として定めたのです。
実際、その後、ダビデの息子である3代目の王様ソロモンは、同じくエルサレムに神のための神殿を建てています。
それってそんなに重要なの??
と思うかもしれませんが、この神殿は神が住まわれる場所とされ、ユダヤ教徒にとって神との繋がりを表す最も神聖な場所でした。
実際、ソロモンの神殿は、ユダヤ教の礼拝の中心地となっていき、ユダヤ教の信仰とアイデンティティにとって常に中心的な場所になります。
後に他の国によって2度も神殿は破壊されてしまいますが、一部の外壁だけは残り、”嘆きの壁”として今も大切にされていますね。(後述)
このように、
- 神がユダヤ人に与えると約束され
- 古代イスラエル王国の首都が置かれ
- “神殿”が建てられた場所である
エルサレムは、ユダヤ教徒にとってまさに聖なる地なんですね。
キリスト教
キリスト教にとってエルサレムが重要なのは、イエスキリストの生涯に大きく関わっている重要な場所だからです。
イエスは死から復活する一週間前からエルサレムに入り(エルサレム入城)、それ以降、天に昇られるまでエルサレムとその周辺で過ごされました。
「イエスがエルサレムにはいって行かれたとき、町中がこぞって騒ぎ立ち、「これは、いったい、どなただろう」と言った。 11そこで群衆は、「この人はガリラヤのナザレから出た預言者イエスである」と言った。」
(マタイによる福音書21:10、11)
この一週間は受難週(聖週間)などと呼ばれて重要視されていますが、
この期間に起きたことが、イエスの生涯の中でも特に重要な出来事ばかりなのです。
時系列で並べると以下の通りですね。
- イエスがロバに乗ってエルサレムに入城する(エルサレム入城)
- 人々に様々な教えを説いたり奇跡を行ったりする
- 弟子たちと最後の晩餐を行う
- ゲッセマネの園で祈り、そこでユダの裏切りにより逮捕される
- 十字架刑に処せられるも、3日目に復活する
- しばらく弟子たちと過ごした後、オリーブ山から昇天
こうして見るとイエスの生涯の中でも有名な出来事が多く、エルサレムの重要性が分かるのではないでしょうか。
特にイエスの十字架での死と復活は、キリスト教の中心となる出来事であり超重要ですね。
なぜなら、これらの出来事によって人間の罪はゆるされ、救いが約束されると信じられているからです。
ちなみに、イエスの昇天後、イエスの弟子たちが最初に教会を建てたのもエルサレムです。
そして、キリスト教の教えは、エルサレムから他の地域や都市、やがて世界中に広がっていくようになります。
そのため、エルサレムは、初期キリスト教にとっても重要な中心地であり、多くの信徒が巡礼に訪れました。
✅️イエス・キリストの詳細は、【完全版】イエス・キリストとはどんな人?その生涯を簡単にまとめてみたをどうぞ
イスラム教
イスラム教にとってエルサレムが重要なのは、預言者ムハンマドが夜の旅と昇天をした場所だからです。
ムハンマドといえば、イスラム教の開祖であり、”最後にして最大の預言者”とされている人物ですね。
ムハンマドの生涯や教えは、イスラム教の基盤になっており、イスラム教徒にとって模範的な存在です。
イスラム教の聖典コーランの第17章「夜の旅」によると、預言者ムハンマドは以下のような経験をしたとされています。
- 天馬”ブラーク”に乗って、メッカのカアバ神殿からエルサレムにあるアル=アクサー・モスクまで夜の旅を経験した
- アル=アクサー・モスクから天使ガブリエル(ジブリール)に導かれて天を巡り、神の啓示を受けた
この夜の旅と昇天は、イスラム教において非常に重要な出来事であり、エルサレムをイスラム教徒にとって特別な場所にしました。
また、エルサレムは、ユダヤ教やキリスト教に登場する
- アブラハム
- モーセ
- ダビデ
- ソロモン
- イエス
などが活動した地でもあり、イスラム教は彼らを預言者として尊敬しています。
こうした理由でエルサレムは、イスラム教にとってメッカとメディナに次ぐ第三の聖地とされているんですね。
エルサレムにある3宗教の聖地
ここまで見てきて、実際に、エルサレムにどんな聖地があるのか気になる方もいるでしょう。
以下で宗教ごとに詳しく見ていきます!
- ユダヤ教:嘆きの壁など
- キリスト教:聖墳墓教会など
- イスラム教:神殿の丘(アル=アクサー・モスク、岩のドーム)など
ユダヤ教:嘆きの壁など
エルサレムにあるユダヤ教の聖地はいくつかありますが、最も代表的なものは嘆きの壁です。
嘆きの壁とは、かつてエルサレムに存在した第二神殿の西側の外壁の一部ですね。
ユダヤ教徒にとって神殿は重要な場所だったと言いましたが、先ほども言ったように、実は過去に2度も破壊されています。
こうして大切な神殿は破壊されてしまいましたが、第二神殿の西側外壁の一部だけは奇跡的に残りました。
これが嘆きの壁であり、ユダヤ教徒にとても神聖視されているのです。
嘆きの壁は、ユダヤ人の歴史と苦難の象徴なんですね。
“嘆きの壁”という名前は、過去にユダヤ教徒が神殿の破壊を嘆き悲しみ、神殿の再建を願ってここで涙を流して祈ったことから名付けられました。
ただし、イスラエルではこの呼び方はされず、”西の壁”と呼ばれています。
現在でもユダヤ教徒はここで祈りを捧げ、神への願いを書いた紙を壁の隙間に挟むことが習慣となっていますね。
なぜなら、嘆きの壁は神の臨在を感じる場所であり、ここでの祈りは特に強力であると信じられているからです。
お祈りは基本的に、
- 女性は右側、男性は左側に分かれる
- 嘆きの壁に手を当てて、顔をつけて祈りをささげる
という流れで行われますが、壁に向かってイスに座り、本を開いて祈りの言葉を読む人もいますね。
また、壁の前では、女性はスカーフで髪をおおい、男性は帽子をかぶるという決まりがあります。
他にもエルサレムにあるユダヤ教の聖地には、以下のようなものがあります。
- 神殿の丘
➔かつて第一神殿と第二神殿が建てられていた場所。ただし、現在はイスラム教の聖地である岩のドームとアル=アクサー・モスクが建っている。
- ダビデの町
➔ダビデ王が都を置いた場所で、ダビデ王やソロモン王の宮殿やその他の遺跡が残されている。
キリスト教:聖墳墓教会など
エルサレムにあるキリスト教の聖地にもいくつかありますが、特に神聖視されているのは聖墳墓(せいふんぼ)教会です。
なぜなら、イエスキリストが十字架に架けられ、埋葬され、復活したとされる場所に建てられた教会だから。
これらの出来事は、キリスト教のベースとなる最も重要な出来事ですから、聖地とされるのも納得ですよね。
イエスのお墓はローマ帝国のコンスタンティヌス帝の母ヘレナによって発見されたと言われており、
4世紀頃、コンスタンティヌス帝によってイエスのお墓の上に教会が建設されました。
聖墳墓教会は“世界で最も重要な教会”と言われ、特にイースター(復活祭)の期間に多くの巡礼者が訪れます。
ちなみに、聖墳墓教会は現在、
- カトリック教会
- ギリシャ正教会
- アルメニア正教会
など複数のキリスト教宗派によって共同管理されており、一日中いずれかの宗派によって交代で礼拝や祈りなどが行われていますね。
他にもエルサレムにあるキリスト教の聖地には、以下のようなものがあります。
- ゲッセマネの園
➔オリーブ山にある庭園で、イエスが十字架に架けられる前夜に祈り(ゲッセマネの祈り)をささげた場所。
- ヴィア・ドロローサ
➔イエスが十字架を背負って歩いたとされる道。途中には、イエスがムチで打たれた場所など14のステーション(停留所)があり、最終地点が聖墳墓教会。
イスラム教:神殿の丘(アル=アクサー・モスク、岩のドーム)など
エルサレムにあるイスラム教の代表的な聖地は、神殿の丘(ハラム・アル・シャリフ)です。
神殿の丘は、第一神殿と第二神殿が建てられていた場所で、ユダヤ教やキリスト教にとっても重要な聖地ですね。
しかも、神殿の丘には、
- アル=アクサー・モスク
- 岩のドーム
という、これまたイスラム教にとって重要な2つの聖地があるのです。
まず、アル=アクサー・モスクは、705年~709年にかけてウマイヤ朝のワリード1世によって建設されたモスクですね。
その見た目から”銀のドーム”とも呼ばれます。
コーランの第17章「夜の旅」によると、預言者ムハンマドがメッカにあるカーバ神殿からこのモスクまで一夜で旅をした、とされています。
モスク
➔イスラム教徒が礼拝する場所。
また、宗教的な礼拝だけでなく、教育や社会的な活動の場としても利用されており、イスラム教徒の生活において欠かせない存在。
このモスクは、メッカにあるマスジド・ハラーム(大モスク)の次に重要なモスクとされており、金曜日の礼拝には多くの信徒が集まります。
実際、今でこそイスラム教徒はメッカにあるカーバ神殿の方角に向かって礼拝をしますが、当初はこのモスクの方角に向けられていました。
一方で、岩のドームは、691年にウマイヤ朝のアブド・アル・マリクによって建設されています。
岩のドームは、アル=アクサー・モスクの近くにあり、大きな岩の上に建てられていますね。
この岩には、以下の2つの物語があります。
- アブラハムが神の命令によって息子イサクを捧げようとした場所
- ムハンマドが夜の旅に旅立った場所
こうした理由で、岩のドームは神聖視されているんですね。
また、イスラム教建築の傑作とされており、その美しい黄金のドームはエルサレムのシンボルの一つとなっています。
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まとめ:エルサレムには3つの宗教の聖地がある!
私たち日本人は宗教に疎く、聖書にもなじみがないので、エルサレムが神聖視される理由がピンとこないかもしれません。
しかし、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の歴史を振り返れば、それぞれにとってエルサレムはとても重要な場所です。
そりゃあ争いにもなるわなあ、という感じですよね。
現在もエルサレムを巡る争いは続いていますが、今回の記事を見ていただければニュースの見方も変わってくるのではないでしょうか。
この問題が一刻も早く解決するように、お祈りしていきたいですね!
ちなみに、
僕にとっての聖地は家の近くの銭湯です。(庶民的)
キートンでした。
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