ジーザス、エブリワン!キートンです。
ユダヤ教で大切なお祭りらしいけど。。
こういった疑問にお答えします。
ユダヤ教には様々なお祭りがありますが、中でも特に重要とされているのが過ぎ越しの祭りです。
世の中には様々なお祭りがありますが、このお祭りの歴史の深さは半端ではありません。
なにしろ、古代エジプト時代の紀元前13世紀頃から始まったとされているのですから。
しかも、現在も継続して祝われているというのですから、もはや”過ぎ越し大先輩”と呼ばざるを得ませんね!(どういうこっちゃ)
とはいえ、聖書を読んだこともなく、ユダヤ教徒でもない多くの日本人の方には全くなじみがないでしょう。
そこでこの記事では、クリスチャンの僕が、
- 【由来】過ぎ越しの祭りとは?
- 過ぎ越しの祭りでは何をする?【儀式と食事】
- 最後の晩餐は過ぎ越しの祭りの食事だった?
について解説します。
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【由来】過ぎ越しの祭りとは?
過ぎ越しの祭りは、奴隷だったイスラエル人(ユダヤ人)のエジプト脱出を記念する春の祭りです。
ユダヤ3大祭りの1つであり、ユダヤ教で最も重要な祭りの1つですね。
ヘブル語でぺサハといい、春分から数えて最初の満月の夜に行われます。
お祭りは、ユダヤ暦のニサン月(春の始まり)の14日に始まり、7日間続きますね。
なぜ過ぎ越しというのかというと、その由来は旧約聖書の出エジプト記にあります。
当時イスラエル人はエジプトで奴隷状態にあり、彼らを救うために神は預言者モーセをエジプト王ファラオの元につかわしました。
イスラエル人解放を認めようとしないファラオに対し、神はエジプトに
- ナイル川の水が血に変わる
- カエルを放つ
- ブヨを放つ
- アブを放つ
- 家畜に疫病(えきびょう)を流行らせる
- 腫(は)れ物を生じさせる
- ヒョウを降らせる
- イナゴを放つ
- 暗闇でエジプトを覆(おお)う
という9つの災いをエジプトもたらしますが、頑固なファラオはそれでも聞く耳を持ちません。
そこで神が10番目に起こしたのが、人も家畜も含めてエジプト中の全ての初子(最初に生まれた子供)を撃つという災いでした。
一方で、イスラエル人の家族は、家のドア(2本の門柱と鴨居)に小羊の血を塗ることでこの災いを回避することができると約束されました。
「そこでモーセはイスラエルの長老をみな呼び寄せて言った、「あなたがたは急いで家族ごとに一つの小羊を取り、その過越の獣をほふらなければならない。 22また一束のヒソプを取って鉢の血に浸し、鉢の血を、かもいと入口の二つの柱につけなければならない。朝まであなたがたは、ひとりも家の戸の外に出てはならない。 23主が行き巡ってエジプトびとを撃たれるとき、かもいと入口の二つの柱にある血を見て、主はその入口を過ぎ越し、滅ぼす者が、あなたがたの家にはいって、撃つのを許されないであろう。」
(出エジプト記12章21~23節)
イスラエル人たちが言う通りにすると、どうでしょう。
パロの長子を含めたエジプト中の初子たちは死に絶えましたが、イスラエル人の初子たちは無事だったのです。
これは神が子羊の血のついている家には、災いを下さなかった(過ぎ越した)からですね。
その後、ファラオはようやくイスラエル人解放を認め、モーセたちは出エジプトを達成しました。
これらの出来事を記念して行われるようになったのが、過ぎ越しの祭りなんですね!
(✅【要約】出エジプト記とは?あらすじをわかりやすくまとめてみたの記事も参照)
過ぎ越しの祭りでは何をする?【儀式と食事】
過ぎ越しの祭りは、現在でもほとんどのユダヤ教徒の間で行われていますが、具体的に何をするのでしょうか?
その内容を一言で言うと儀式と食事であり、まとめると以下の通りです。
- 夜に家族や友人が集まり、”セーデル”と呼ばれる特別な食事(種なしパン、羊肉、苦菜など)が出る。
- 食事の間、”ハガダー”と呼ばれる出エジプトに関する書物が読まれる。
- 特別な祝福や祈りをする。
過ぎ越しの祭りの最初の日と最後の日は特に重要視され、労働を避けるように求められることもありますね。
なぜなら、聖書にもこう書かれているからです。
「かつ、あなたがたは第一日に聖会を、また第七日に聖会を開かなければならない。これらの日には、なんの仕事もしてはならない。ただ、おのおのの食べものだけは作ることができる。」
(出エジプト記12章16節)
ちなみに、セーデルでの食事に使われる食材と料理にも、それぞれ象徴的意味があります。
こちらもまとめると、以下の通りです。
- マッツァー
➡種入れぬパン。イスラエル人がエジプトを脱出する際に、パンを発酵させ膨らませる時間がなかったことに由来。
- ゼローア
➡羊の肉の骨(通常は前脚の骨)。過ぎ越しの犠牲の小羊を象徴。
- ベーツァー
➡ゆで卵。神殿でささげられていた子羊以外の第2のいけにえを象徴。
- マーロール
➡レタスやセロリなどの苦味のある野菜を塩水に漬けたもの。エジプトで奴隷になったイスラエル人が流した涙を象徴。
- ハローセト
➡リンゴ、ナッツ、蜂蜜、シナモンなどを混ぜた、甘いペースト状の料理。イスラエル人が、エジプト王のために作ったレンガの原料を象徴。
上記のように、過ぎ越しの祭りでは種なしパンを食べることから、“種入れぬパンの祭り”とも呼ばれます。
「七日の間あなたがたは種入れぬパンを食べなければならない。その初めの日に家からパン種を取り除かなければならない。第一日から第七日までに、種を入れたパンを食べる人はみなイスラエルから断たれるであろう。」
(出エジプト記12章15節)
そのため、祭りの間は普通のパンはもちろん、ケーキやクッキーなどの酵母を含む食品を一切食べません。
最後の晩餐は過ぎ越しの祭りの食事だった?
イエスキリストが処刑される前日に弟子たちと共に食事をした、最後の晩餐。
非常に有名なシーンですが、実は彼らが最後の晩餐で食したのは、過ぎ越しの祭りで食される“過ぎ越しの食事”でした。
「弟子たちはイエスが命じられたとおりにして、過越の用意をした。 20夕方になって、イエスは十二弟子と一緒に食事の席につかれた。」
(マタイによる福音書26章19、20節)
イエスたちは最後の晩餐でパンとぶどう酒を食べ、これがイエスの十字架の死を記念する“聖餐式”のルーツになりました。
「一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「取って食べよ、これはわたしのからだである」。 27また杯を取り、感謝して彼らに与えて言われた、「みな、この杯から飲め。 28これは、罪のゆるしを得させるようにと、多くの人のために流すわたしの契約の血である。」
(マタイによる福音書26章26~28節)
そのため、聖餐式では、過ぎ越しの祭りのように種なしの無発酵パンが使われるのが一般的です。
ちなみに、イエスが十字架に架かられたのは過ぎ越しの祭りの日です。
これはイエスご自身が預言されていたことであり、単なる偶然ではありません。
「イエスはこれらの言葉をすべて語り終えてから、弟子たちに言われた。 2「あなたがたが知っているとおり、ふつかの後には過越の祭になるが、人の子は十字架につけられるために引き渡される」。」
(マタイによる福音書26章1、2節)
イエスは過ぎ越しの祭りの日に十字架に架かられることで、ご自身が過ぎ越しの小羊であることを示されたのです。
どういうことかというと、エジプトの10番目の災いの際に、イスラエル人たちは小羊の犠牲の血によって神の裁きから救われました。
同じように、私たちはイエスが十字架で犠牲となり血を流されたことで罪がゆるされ、神の裁きから救われたのです。
本来なら、人間は罪によって神の裁きを受けなくてはいけない存在ですからね。
つまり、イエスは過ぎ越しの小羊とご自身をなぞらえたということです。
聖書の他の箇所でも、イエスが小羊と表現されている箇所がいくつもあります。
「その翌日、ヨハネはイエスが自分の方にこられるのを見て言った、「見よ、世の罪を取り除く神の小羊。」
(ヨハネによる福音書1章29節)
「新しい粉のかたまりになるために、古いパン種を取り除きなさい。あなたがたは、事実パン種のない者なのだから。わたしたちの過越の小羊であるキリストは、すでにほふられたのだ。」
(コリント人への第一の手紙5章7節)
(✅【完全版】イエス・キリストとはどんな人?その生涯を簡単にまとめてみた
✅【聖書】迷える子羊の意味とは?クリスチャンが解説しますの記事も参照)
まとめ:過ぎ越しの祭りは、歴史のある重要なお祭り!
過ぎ越しの祭りは歴史が深く、ユダヤ教徒にとって重要なお祭りです。
また、キリスト教徒にとっても、最後の晩餐やイエスの十字架が関係しているという意味で重要ですね。
いやー、1度お祭りに参加してみたいですなあ。。
過ぎ越しの祭りのイメージがしやすい動画も貼っておくので、よろしければご覧ください。
キートンでした。
👇参考文献