聖書物語シリーズ

【聖書】ルツ記のあらすじをわかりやすく解説!嫁と姑の感動物語?

ジーザス、エブリワン!キートンです。

旧約聖書の”ルツ記”ってどんなお話?

あらすじなどについて知りたいなあー!

こういった疑問にお答えします。

 

皆さんは、嫁と姑(しゅうとめ)と聞くとどんなイメージを持ちますか?

もしかして、

とりあえずなんか仲悪そう。。
ドロドロした昼ドラみたいな関係?

というネガティブなイメージを持ってはいませんか?

 

いえいえ、皆さん、それは固定概念です。

聖書の中には、とっても美しく心温まる感動的な嫁と姑のストーリーが描かれているのです。

 

それこそが、今回ご紹介する“ルツ記”

ルツ記には隠れファンも多く、聖書を代表するハートフルストーリーとなっています。

 

この記事では、

  • ルツ記とは?
  • ルツ記のストーリー

などをご紹介したいと思います!

キートン
キートン
ささっ!ハンカチのご用意を!

“ルツ記”とは?

ルツ記は旧約聖書の書物の1つで、モアブ人女性のルツとその姑ナオミの絆が描かれています。

ルツ記は全部で4章しかなく、これは旧約聖書の書物でも最も短いです。

 

また、ルツ記はユダヤ教のお祭り※”五旬節(ごじゅんせつ)”のときには必ず読まれるほど重要視されています。

ちなみに、聖書の書物に女性の名前がついているのは、ルツ記の他にはエステル記しかありません。

 

※五旬節➡モーセによる出エジプトをお祝いする”過越祭(すぎこしさい)”から50日目に行われるユダヤ教の祭日のこと。

“ルツ記”の主な登場人物

では、ルツ記に登場する主な人物たちを見てみましょう!

 

ちなみに、ルツ記には良い人しか登場しません。

ああ、なんて優しい世界。。!

ナオミ

心優しいルツの姑(しゅうとめ)。

飢饉(ききん)から逃れるためにモアブの地にやってきますが、夫と息子たちに先立たれ、再び故郷のベツレヘムに帰ることを決めます。

 

※飢饉(ききん)➡農作物が不作で、食べ物が不足して人々が飢えに苦しむこと。

ルツ

ナオミの息子の奥さん。

姑想いのけなげな女性で、故郷を捨ててナオミと共にベツレヘムに向かうことを決意します。

ボアズ

ベツレヘムの裕福な地主で、ナオミの夫の親戚にあたる人物。

優しく誠実な人物で、自分の畑で落穂拾いをするルツに様々な親切をしてあげます。

“ルツ記”のあらすじ

さあ、感動のストーリーの幕開けだい!!

ナオミ、夫と息子たちを失う

「3ナオミの夫エリメレクは死んで、ナオミとふたりの男の子が残された。 4ふたりの男の子はそれぞれモアブの女を妻に迎えた。そのひとりの名はオルパといい、ひとりの名はルツといった。彼らはそこに十年ほど住んでいたが、 5マロンとキリオンのふたりもまた死んだ。こうしてナオミはふたりの子と夫とに先だたれた。」

(ルツ記1章3~5節)

これは、まだ王様がおらず、士師が国を治めていた頃のこと。

飢饉(ききん)が国を襲ったため、ナオミは夫や2人の息子とともにベツレヘムからモアブの地に移り住むことにしました。

 

しかし、ナオミの夫は家族を残して死んでしまいます。

その後、ナオミの息子たちはそれぞれモアブの女性を妻にしました。

 

それが、

  • オルパ
  • ルツ

という女性でした。

ところが、10年ほどモアブで暮らしている間に、ナオミの2人の息子たちも死んでしまいます。

 

こうして、ナオミと嫁たちだけが残されてしまったのです。

いきなり寂しい始まり。。

ナオミとルツ

「16しかしルツは言った、「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることをわたしに勧めないでください。わたしはあなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。 17あなたの死なれる所でわたしも死んで、そのかたわらに葬られます。もし死に別れでなく、わたしがあなたと別れるならば、主よ、どうぞわたしをいくえにも罰してください」。」

(ルツ記1章16、17節)

やがて飢饉が去ったので、ナオミと嫁たちはモアブを離れベツレヘムに帰ることとなりました

ベツレヘムでは、豊作になってきたというニュースを聞いたのです。

 

しかし、故郷のベツレヘムに帰る途中、ナオミは2人の嫁に言いました。

ナオミ
ナオミ
あなたたちは、私にも死んだ息子たちにも良くしてくれた。

だから、もう自分たちの実家にお帰りなさい。

どうか、神様があなたたちに新しい夫を与えてくださいますように。

しかし、ルツたちは声をあげて泣くと言いました。

ルツたち
ルツたち
いいえ、あなたと共に行かせてください!

ナオミは答えました。

ナオミ
ナオミ
どうしてついて来るのですか?

あなたたちの夫になるような子供も、私の胎内にはいないですし、この歳ですからもう再婚もできません。

仮に今すぐ再婚して子供ができたとしても、その子供が育つまで待つつもりですか?

それまで嫁(とつ)がないつもりですか?

それはいけません!私だって本当は辛いのです。

2人は再び声を上げて泣きましたが、オルパはナオミと別れる決心をして、ナオミに別れの口付けをし自分の故郷に帰って行きました。

 

しかし、ルツはナオミにすがりついて離れようとしません。(すごい粘り)

ルツは言いました。

ルツ
ルツ
あなたを見捨てて帰れなどとひどいことを言わないでください!

私はあなたが行かれるところに行き、泊まられるところに泊まります。

あなたの民は私の民、あなたの神は私の神。

あなたの亡くなるところで私も死にたいのです。

こうして、ルツの強い決意に負け、ナオミはルツとともにベツレヘムに帰ることにしました。

ボアズの優しさ

‭‭

「8ボアズはルツに言った、「娘よ、お聞きなさい。ほかの畑に穂を拾いに行ってはいけません。またここを去ってはなりません。わたしのところで働く女たちを離れないで、ここにいなさい。 9人々が刈りとっている畑に目をとめて、そのあとについて行きなさい。わたしは若者たちに命じて、あなたのじゃまをしないようにと、言っておいたではありませんか。あなたがかわく時には水がめのところへ行って、若者たちのくんだのを飲みなさい」。」

(ルツ記1章8、9節)

ユダのベツレヘムに帰ってきた後、ルツがナオミに言いました。

ルツ
ルツ
今から、畑に行ってきます。

親切そうな人の後ろで、麦の落穂を拾わせてもらいたいのです。

当時、”落穂拾い”というのは

  • 貧しい人
  • 未亡人
  • 外国人
  • 孤児

といった人たちのための決まりであり、これによって貧しい人たちは命を繋いでいました。

つまり、畑の収穫物の一部を、貧しい人々のために残しておかなければならないという規定があったのです。

 

そして、その頃は丁度大麦の刈り入れの時期。

貧しい2人が食べていくには、この方法しかありません。

 

ナオミが送り出すとルツは畑に行き、借り入れをしている農夫たちが落として行く穂を後ろから拾い始めました。

それらを集めて束にし、後で脱穀までするのですからかなりの重労働です。

 

そして、そこはボアズという人物が所有している畑でした。

ボアズはルツに気づくと、農夫の監督にあの娘は誰かと尋ねました。

 

農夫の監督は答えました。

農夫の監督
農夫の監督
あの人は、ナオミと共にモアブから戻ってきたモアブの娘です。

『刈り入れする人の後について、落穂を拾わせてください』と言って、朝からずっと働いています。

そして、今は小屋で休憩しているところです。

これを聞いたボアズは小屋に向かうと、ルツに言いました。

ボアズ
ボアズ
娘よ、あなたは他の畑には行かず、ここでずっと落穂拾いをしていくとよい。

そして、私の所の女たちにしっかりとついて行くのだ。

若い者には邪魔をしないように命じておく。

もし喉が渇いたら、水がめの所に行って自由に水を飲みなさい。

なんと温かい言葉でしょう。

 

ルツはこれを聞くとひれ伏して言いました。

ルツ
ルツ
なぜあなたは、よそ者の私にこんなに良くしてくださるのですか?

ボアズは答えました。

ボアズ
ボアズ
私は、あなたが主人を亡くし姑に尽くしていることや、故郷を捨てて見知らぬ国にやってきたことなどを全て聞いている。

立派なことだ。

どうか主があなたの行為に報いてくださいますように。

ルツはボアズの言葉にとても感動しました。

 

さらに、ボアズはルツに食事を与えたうえに、ルツができるだけ沢山の穂を拾えるように手配してあげました。

ボアズは身分や人種によって、人を差別しなかったのです。

素敵な人だにゃ~。

ナオミ、神様の導きに感謝する

「22ナオミは嫁ルツに言った、「娘よ、その人のところで働く女たちと一緒に出かけるのはけっこうです。そうすればほかの畑で人にいじめられるのを免れるでしょう」。」

(ルツ記2章22節)

こうして、日が暮れる頃には、ルツが集めた穂はかなりの量になりました。

ナオミも、帰ってきたルツの手にある穂の量に驚き、理由を尋ねました。

 

そして、ボアズの名前を聞くとさらに驚きました。

なぜなら、ボアズはナオミの夫の親戚だったからです。(何という奇跡)

 

ナオミが神様の素晴らしい導きに感謝していると、ルツは言いました。

ルツ
ルツ
あの方は私に、刈り入れの時期が終わるまで自分の畑に留まるように言ってくださいました。

ナオミは答えました。

ナオミ
ナオミ
それは素晴らしいことです。

その畑で働ければ、他の畑で誰かからひどい目にあわされることもないでしょうから!

こうして、ルツは大麦と小麦の刈り入れが終わるまでボアズのもとで落穂を拾いました。

ナオミの提案

「時にしゅうとめナオミは彼女に言った、「娘よ、わたしはあなたの落ち着き所を求めて、あなたをしあわせにすべきではないでしょうか。 2あなたが一緒に働いた女たちの主人ボアズはわたしたちの親戚ではありませんか。彼は今夜、打ち場で大麦をあおぎ分けます。 3それであなたは身を洗って油をぬり、晴れ着をまとって打ち場に下って行きなさい。ただ、あなたはその人が飲み食いを終るまで、その人に知られてはなりません。 4そしてその人が寝る時、その寝る場所を見定め、はいって行って、その足の所をまくって、そこに寝なさい。彼はあなたのすべきことを知らせるでしょう」。」

(ルツ記3章1~4節)

ある日、ナオミはルツに言いました。

ナオミ
ナオミ
ルツ、私はあなたが幸せになれる場所をようやく見つけました。

それは、私たちの親戚であるボアズのところです。

彼は今夜、麦打ち場で大麦をふるい分ける作業をするそうですから、あなたは体を洗って香油を塗り、肩掛けをはおってそこに行きなさい。

そして、今夜、彼が寝るときに、彼の衣のすそで体をおおって添い寝をしなさい。

そう、ナオミはルツとボアズを結ばせようとしていたのです。

 

ナオミの提案は中々大胆なものでしたが、

ルツは言われた通りにし、ボアズが食事を終え、積まれた麦の束に横になったのを見計らって、彼の横に添い寝しました。

 

ボアズが夜遅くに寒さで目を覚ますと、ルツは言いました。

ルツ
ルツ
ボアズ様、私はルツです。

どうか、神様の律法に従って私を妻にしてください。

あなたは親戚の方であり、その権利がありますから。

ボアズは答えました。

ボアズ
ボアズ
あなたはナオミのために尽くしている、本当に素晴らしい女性だ。

だが、私よりももっとあなたに近い親戚がいる。

もしその人があなたを妻に迎えることを断ったら、私が責任を果たしあなたを引き取ろう。

今夜はここで眠りなさい。

ルツ、結婚する

「13こうしてボアズはルツをめとって妻とし、彼女のところにはいった。主は彼女をみごもらせられたので、彼女はひとりの男の子を産んだ。」

(ルツ記4章13節)

こうして、次の日にボアズは親戚の人と話をし、ルツを妻として迎え入れることができました。

この結婚を姑のナオミは大いに喜び、ルツを祝福しました。

 

その後、ルツはオベドという子を生みました。

ルツ記の教えは?【神の愛は異邦人にも注がれる】

ルツ記はただの心温まる感動ストーリーではありません。

ルツ記には、神様は異邦人さえも愛される”というメッセージが込められています。

 

聖書の時代、アブラハムの子孫であるイスラエル人以外は、全て異邦人という扱いでした。

当然、モアブ人であるルツも異邦人です。

 

しかも、モアブ人は子供をいけにえに捧げるような神を崇拝することで知られており、

イスラエル人からも嫌われていました。

恐ろしい。。!

 

聖書にもこう書かれています。

「アンモンびととモアブびとは主の会衆に加わってはならない。彼らの子孫は十代までも、いつまでも主の会衆に加わってはならない。 」

‭‭(申命記‬ ‭23:3‬)

このルツの時代には比較的友好的な関係を結べていたようですが、ルツが異邦人であることは変わりありません。

 

しかし、ルツはモアブ人でありながら、真の神様を見上げる正しい人でした。

そんな彼女のことを神様は愛し、祝福されたのです。

 

ルツは、ナオミにこのように言っています。

「16しかしルツは言った、「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることをわたしに勧めないでください。わたしはあなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。」

(ルツ記1章16節)

異邦人であろうと、神様の愛は誰にでも注がれるのです!

ルツは、ダビデやイエス・キリストの先祖!?

このお話を読んでも、

はあ〜、ルツってけなげなええ子やなあ〜。

嫁に欲しい。

くらいにしか思わないかもしれませんが、実はルツって聖書の歴史的にかなり重要な人物なんです。

 

なぜなら、ルツはダビデイエスキリストの先祖にあたる人物だからです。

そう、ルツはイエスキリストの直系にあたる人物なんです!

 

聖書にもこう書かれています。

「サルモンからボアズが生れ、ボアズからオベデが生れ、 オベデからエッサイが生れ、エッサイからダビデが生れた。」

(ルツ記4章21、22節)

ボアズとルツの間に生まれたのがオベデであり、そのオベデからエッサイ、ダビデと繋がっていきます。

 

つまり、ダビデはルツから見るとひ孫にあたるんですね。

そこからさらに、ソロモンヨセフ、そしてイエスキリストへと繋がっていくのです。

凄い系図。。!

ルツがボアズと結婚しなかったら、ダビデやイエスが誕生していなかったと考えるとルツの存在がいかに重要か分かりますよね!

 

聖書の人物系図については、【完全版】聖書の人物系図をまとめてみた【各人物の紹介付き】をどうぞ

ルツ記は、ミレーの”落穂拾い”のモチーフ!?

非常に有名な絵画に、“落穂拾い”という作品があります。(上の画像)

これはミレーという画家によって描かれた作品で、皆さんも一度は見たことがあるのではないでしょうか?

 

実はこの作品、ルツ記をモチーフに描かれた作品なんです!

ルツが落穂を拾うシーンは印象的ですもんね。

「3ルツは行って、刈る人たちのあとに従い、畑で落ち穂を拾ったが、彼女ははからずもエリメレクの一族であるボアズの畑の部分にきた。」

(ルツ記2章3節)

ミレー自身が農家の生まれだったんだにゃ~。

 

今度この絵を見かけたときは、ルツ記のお話を思い出してみてくださいね!

いやー、それにしても趣のある絵ですなあ。。

 

キリスト教系の絵画については、【まとめ】有名な西洋の絵画12点から見るキリスト教【解説付き】をどうぞ

まとめ:ルツ記は聖書きっての感動物語!

ルツ記は、心温まる感動ストーリーで、世界的にも愛されている書物です。

 

結構ドロドロしたお話も多い聖書の中では、珍しいのではないでしょうか!

悪い人が誰も出てこないというのもいいですよね。

 

ですから、私はこれからルツ記をこう呼びましょう。。

聖書のオアシスと!

 

キートンでした。

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月間15万PVを達成! プロテスタントクリスチャンで、愛称は"キートン"(本名:辻 勇輝)。 キリスト教の面白さを伝えるために、分かりやす~く情報を発信中。 所属教会は”ひばりが丘バイブルチャーチ”です。 趣味は、曲作り、映画鑑賞、読書、筋トレ、散歩など。

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