聖書物語シリーズ

善(良)きサマリア人のたとえとは?現代人にも分かりやすくまとめてみた

ジーザス、エブリワン!キートンです。

聖書に書かれている”善(良)きサマリア人”のたとえってどんなお話?

具体的な内容やメッセージ性などについて知りたいなあ。。

こういった疑問にお答えします。

 

今回は、イエスのたとえ話の1つ“善きサマリア人”のお話をご紹介します!

イエスが語られた中でも、有名なたとえ話の1つですね。

 

その内容は、現代にも通用する素晴らしいものです。

しかし、聖書を読んだこともなく、内容についてよく知らない方もいるのではないでしょうか?

 

短いお話ですが、とても大切なお話なのでこの機会に押さえておきましょう!

この記事では、クリスチャンの僕が、

  • “善きサマリア人”のたとえのストーリー
  • “善きサマリア人”のたとえに込められたメッセージ

などについてまとめていきます!

イエスのたとえについては、【2020年】イエスのたとえ話って何がある?主なものをまとめてみたをどうぞ

“善きサマリア人のたとえ”とは?

“善きサマリア人のたとえ”は、新約聖書の”ルカによる福音書”に書かれたイエス・キリストが語られたたとえ話の1つです。

“善いサマリア人のたとえ”と呼ばれることもあります。

 

主な内容は、強盗に襲われて死にかけているユダヤ人を、

当時ユダヤ人に嫌われていたサマリア人だけが助けてあげたというもの。

 

“隣人に対する愛”が主なテーマとなっています!

イエス・キリストについては、【完全版】イエス・キリストとは?その生涯を簡単にまとめてみたをどうぞ

“善きサマリア人のたとえ”の登場人物

短いお話ですが、登場人物を紹介しておきましょう!

  • ユダヤ人の旅人
  • ユダヤの祭司
  • レビ人
  • サマリア人

ユダヤ人の旅人

エリコへ旅をしていたユダヤ人。

途中で強盗に襲われて、半殺しにされてしまいます。

ユダヤの祭司

通りかかる人その①。

神殿に仕えて儀式をつかさどる人のことで、ユダヤ人社会の最上層エリート。

 

ユダヤ人の旅人とは、同じ民族のはずですが。。

レビ人

通りかかる人その②。

神殿で祭司に仕える人で、こちらもエリート。

 

ユダヤ人の旅人には気づきますが。。

サマリア人

通りかかる人その③。

当時、ユダヤ人たちからは忌み嫌われていました。(後述)

 

前の2人のように、ユダヤ人の旅人を見て見ぬ振りをするかと思いきや。。?

“善きサマリア人のたとえ”のストーリー

では、ストーリーに入っていきましょう!

ユダヤ人の旅人、襲われる

 

「イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。」

(ルカによる福音書10章30節)

あるところに、エルサレムからエリコへ旅をしているユダヤ人がいました。

しかし、その道はしばしば強盗が現れ、暴力行為が行われる危険な場所でした。

 

ある日、そのユダヤ人は強盗に襲われ、

身ぐるみをはがされたあげく、ボコボコに殴られて半殺しにされてしまいます。

しょっぱなからエグい。。!

通りかかった3人の人たち

「ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、 34近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。」

(ルカによる福音書10章33、34節)

しばらくすると、その道をとあるユダヤの祭司が通りかかりました。

ふと見ると、そこに旅人が倒れています。

 

ところが、面倒なことに巻き込まれたくないと思ったのか、道の反対側に回り、見て見ぬ振りをして去って行ってしまいました。

またしばらくすると、今度はレビ人が通りかかりました。

 

しかし、彼もまた旅人には気づいたものの、横目で見るなりさっさと通り過ぎてしまいました。

おいおい。。!

さて、さらにしばらくすると、今度は当時ユダヤ人に軽蔑(けいべつ)されていたサマリア人が通りかかりました。

 

彼は旅人に気づき、また見て見ぬ振りをして通り過ぎる。。かと思いきや、そうではありませんでした。

彼はボロボロに横たわっているユダヤ人がかわいそうに思い、傷口に薬を塗って、包帯を巻いて応急手当てをしてあげました。

 

そして、自分のロバにユダヤ人を乗せ、宿屋まで運んで一晩中看病をしてあげたのです。

翌日になり、サマリア人は宿屋の主人に銀貨を2枚手渡すと言いました。

サマリア人
サマリア人
あの人のことをよろしくお願いします。

お金が足りなかったら、私が帰りに寄って払いますので。

ユダヤ人とサマリア人は、犬猿の仲だった!?

先ほども少し書きましたが、当時サマリア人はユダヤ人から嫌われていました。

元々、サマリア人はユダヤ人と同じ民族で、信仰のルーツも同じです。

 

しかし、

  • 聖地が異なる
  • 聖典の範囲が異なる

などの違いがあり、ユダヤ人はサマリア人を他民族の血が混ざった”異邦人”と呼ぶようになりました。

こうして、ユダヤ人はサマリア人のことを嫌い始め、敵対関係になっていったのです。

同じ民族なのに。。

 

その結果、当時はユダヤ人とサマリア人は口をきくことさえもNGになっていました。

このたとえ話以外にも、聖書にはサマリア人が差別されていたことが分かるお話がいくつか登場します。

 

例えば、イエスがサマリヤ人の女性に話しかけるシーンがありますが、そのときに女性はこう答えています。

「すると、サマリヤの女はイエスに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、どうしてサマリヤの女のわたしに、飲ませてくれとおっしゃるのですか」。」

(ヨハネによる福音書4章9節)

この背景を知っていなければ、このたとえ話の意味は理解できないでしょう!

【解釈】善きサマリア人のたとえのテーマは、”隣人に対する愛”?

善きサマリア人のたとえのテーマは、"隣人に対する愛"?

このお話の主なテーマは、隣人に対する愛です。

 

そもそも、イエスがこのお話を語られたのは、ユダヤ教の律法学者が

隣人とは誰ですか?

という問いをイエスにぶつけたからでした。

なぜなら、イエスが”隣人への愛の大切さ”を語られていたからですね。

するとそこへ、ある律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った、「先生、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。彼に言われた、「律法にはなんと書いてあるか。あなたはどう読むか」。彼は答えて言った、「『心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。また、『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』とあります」。彼に言われた、「あなたの答は正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、いのちが得られる」。すると彼は自分の立場を弁護しようと思って、イエスに言った、「では、わたしの隣り人とはだれのことですか」。

(ルカによる福音書10章25~29節)

その問いに答えるために、イエスはこのたとえ話を語られたのです。

 

最初に通りかかったユダヤ人は、同じ民族にも関わらず倒れている旅人を助けませんでした。

しかし、当時ユダヤ人に嫌われていたはずのサマリヤ人だけが、このユダヤ人の旅人を助けたのです。

 

そうです、結果的にユダヤ人の旅人の隣人になったのはサマリヤ人でした。

皮肉な話だにゃ~。

そして、イエスはこのサマリヤ人と同じように生きるように律法学者たちに語られたのです。

 

なぜなら、律法学者たちは自分たちと同じユダヤ人のことしか隣人と見ていなかったからです。

彼らには律法を形式的に守る精神はあっても、愛を行う精神はなかったんですね!

 

私たちにとっての隣人というのは、

  • 同じ民族の人
  • 仲がいい人
  • 血が繋がっている人
  • 自分が気に入っている人

などに限定されるものではありません。

助けを必要としている人は例外なく私たちの隣人なのです。

 

そして、そういった隣人に対して私たちは愛を持って接していく必要があるんですね。

なぜかって?

 

それは、イエスご自身がこのサマリヤ人のようなお方だからです!

イエスは、どんな相手に対しても愛を持って手を差し伸べてくださるお方です。

 

実際、イエスは全ての人間のために十字架にかかって死んでくださいました。

これは、罪に汚れて助けを必要としていた私たち人間を救うためです。

「しかし、まだ罪人であった時、わたしたちのためにキリストが死んで下さったことによって、神はわたしたちに対する愛を示されたのである。」

(ローマ人への手紙5章8節)

キートン
キートン
まさに無条件の愛“アガペー”ですね!

 

そう考えると、このボロボロになった旅人は、私たち人間のようにも思えてきます。

イエスのように助けが必要な人全てに手を差し伸べる。

 

そのような隣人愛を実践できる人が永遠の命を得ることができるのです!

「わたしは、新しいいましめをあなたがたに与える、互に愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。」

(ヨハネによる福音書13章34節)

もちろん、簡単ではないですけどね!!

“善きサマリア人の法”が存在する!?

皆さんは、“善きサマリア人の法”というものがあるのを知っていますか?

 

これは、アメリカやカナダなどで実際に存在する法律で、

急病人などへの救済行動は、それが失敗したとしても罪に問われないというもの。

責任を恐れて、急病人を助けるのをためらってしまうことを防止することが目的のようですね。

 

そして、この法律は”善きサマリア人のたとえ”が由来となって作られました。

そんなのがあるのか。。

イエスのたとえ話は意外なところにも影響を与えているんですね!

 

キリスト教の雑学については、【豆知識】”へえ~”ってなるキリスト教の面白雑学を14つまとめてみたをどうぞ

善きサマリア人の絵画

では、最後に善きサマリア人をテーマにした絵画を見てみましょう!

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『善きサマリア人』(ピーテル・ラストマン)

サマリア人がケガをしたユダヤ人の旅人を介抱しようとしている場面。 

何というかかなり生々しいですね。

 

っていうか、これってユダヤ人生きてるのか。。?

遺体にしか見えない。。

『善きサマリア人』(フィンセント・ファン・ゴッホ)

これは、サマリア人がユダヤ人の旅人を介抱するために馬に乗せようとしているシーン。

あのゴッホが自殺した年に描いた作品だと言われています。

 

この独特の世界観は、まさにゴッホという感じですね!

ひとめ見ただけでゴッホだと分かるにゃ~。

まとめ:”善きサマリア人のたとえ”は隣人への愛を教えてくれるお話!

いやー、とても深いメッセージが込められたお話でしたね!

 

私たちも、隣人に無条件の愛をもって接していきたいですね!

それにしても、ボロボロになっていてなおかつ嫌っている相手を、素直に助けられるこのサマリア人はすごいです。

 

僕なら、すぐに携帯で救急車呼びますね。(現代人思考)

キートンでした。

まとめ:イエスキリストはたとえ話の達人!
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月間15万PVを達成! 信仰生活28年のプロテスタントクリスチャンで、愛称は"キートン"(本名:辻 勇輝)。 キリスト教の面白さを伝えるために、分かりやす~く情報を発信中。 所属教会は”ひばりが丘バイブルチャーチ”です。 趣味は、曲作り、映画鑑賞、読書、筋トレ、散歩など。

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