ある日、のび太が外を歩いていると、
のび太はドキッとしました。
のび太はジャイアンに気づかれないように、
しかし、よく見ると、いつもとジャイアンの様子が違います。
血と暴力に飢えたどう猛な野獣フェイスではなく、
我が物顔で町内を闊歩(かっぽ)するズンズン歩きではなく、
そして、幾人もの子供達を己の欲望のままにもてあそび、
そのたたずまいは、
その神聖なるオーラのせいか、
のび太が混乱していると、ジャイアンがのび太に気づき、
実は俺さ、今までの罪を悔い改めてクリスチャンになることにしたんだ。
ほら、俺って今までのび太たちに随分と酷いことばっかりしてきただろ?
恐喝に蹂躙(じゅうりん)、誘拐に監禁、一方的な破壊と殺戮(さつりく)。
ただの犯罪者でした。
ジャイアンの罪の意識が強すぎて、
警察に伝えたら、最低でも長期間の懲役(ちょうえき)はまぬがれないでしょう。
のび太の戸惑いをよそに、ジャイアンはしゃべり続けます。
俺は深く反省しているんだ。もちろん、すぐに受け入れてもらえるなんて虫のいいことは考えちゃいないさ。
俺は今まで大きな勘違いしていた。うぬぼれてた。
俺は”ガキ大将”なんかじゃない。”罪大将”だよ。
だが、どうかキリストの愛の精神で、赦してはもらえないだろうか?
この通りだ、頼む!のび太兄弟、どうか憐れみを!この罪深き子羊に慈悲深き憐れみを!
キリストおおおお!!のび太・キリストおおおおお!!!
いつの間にか、のび太は“救い主”になっていました。
ジャイアンはあまりの罪悪感で、頭がおかしくなっていたのです。
のび太は、
今までのことはお互い様ってことで、もう忘れようよ、ジャイアン!
のび太がジャイアンの肩にぽんと手を置くと、
君は何と憐れみ深い神の器なんだ!!ありがとうー!!心の友よ〜!
あ、今の心の友っていうのは決して、社交辞令的で薄っぺらい表面的な友人の意味ではなくて、俺たちは同じ神様を父に持つ1つの家族なんだよっていう意味の深い永遠の繋がりを示すものだからそこのところよろしく頼む
重過ぎました。
今までいじめられ続けてきたのび太にとって、ジャイアンの”心の友”になることはあまりにもハードルが高かったの
のび太が絶望に打ちひしがれていると、ジャイアンはおもむろに、
のび太が中を見てみると、
ジャイアンはのび太ににっこりと微笑みかけると言いました。
そして、一言小さな声で付け加えました。
ただのナイスガイでした。
長年、
のび太が感動に震えていると、ジャイアンはさらに1枚のチケット
これからは心を入れ替えて、神様への想いを思いっきり歌っていこうと思ってさ!良かったら、のび太も来てくれよ!
俺の歌を聞いた人が、1人でも多く神様を信じて天国に行ってくれたらいいな〜。。なんてな!ははっ!
のび太は、笑えませんでした。
ジャイアンの悪魔のような歌声を聞いて、
どうやら自分の罪には気づいても、
クリスチャンではないのび太も、この時ばかりは、
のび太が曖昧な返事をしていると、
今日は本当にありがとう!敬愛なるドラえもん兄弟にもよろしく伝えておいてくれ。
今度、どら焼きの捧げものを持っていくってな。
のび太兄弟の上に、主の豊かな祝福があらんことを!アーメン。
ぎこちない手つきで十字を切った後、足早に去っていくやけに立派なその後ろ姿を、
ジャイアンのあまりの変化に、頭がついてきません。
すると、遠ざかるジャイアンの口から、いつも聞きなれた、
〜完〜